ここから本文です

「イージスアショア問題」が、次期参院選で与野党激突の焦点になる!?

12/3(月) 8:40配信

HARBOR BUSINESS Online

◆秋田と山口ではイージスアショアが争点に

 11月24日、秋田市で開かれた立憲民主党の秋田県連キックオフ大会で、枝野幸男・立憲民主党代表はこう言い切った。

⇒【画像】イージスアショア問題を国政報告会で説明する寺田学衆院議員

「参院選では秋田や山口でイージスアショアが争点になるだろう」

 日本がアメリカの言われるがままに買う羽目になった地上配備型ミサイル迎撃システム「イージスアショア」に対して、秋田県民が「NO!」を突きつけようとし始めた。来年夏の参院選秋田選挙区(一人区)に配備反対派の候補を擁立、賛成派の自民党現職の中泉松司参院議員に勝利しているのだ。

 候補擁立に尽力しているのが立憲民主党会派の寺田学衆院議員(東北比例)で、県連キックオフ大会直前に同じ会場で開かれた寺田氏の国政報告会は「イージスアショア配備イエスかノーかを問う“参院選準備会”」のような様相を呈していた。

 まず参院選候補として白羽の矢が立ったばかりの沼谷純県議が挨拶。続いて『東京新聞』の半田滋・編集兼論説委員(防衛省担当)がイージスアショアについて講演し、必要性への疑問や電磁波による健康被害の恐れやドクターヘリ航行制限の弊害など数々の問題点を指摘した。これを受けて寺田氏は「保革を超えて反対すべき地域の問題」と強調、「沼谷さん、やるべえ」と言いながら次のような出馬要請をした。

「オール沖縄」で辺野古新基地阻止を訴えた翁長雄志前知事を彷彿させる寺田氏の訴えは、「オール秋田」方式によるイージスアショア配備阻止の呼び掛けでもあった。

「『イージス艦で迎撃するのに十分な数のミサイルがそろっていない』と言われています。『差し迫った脅威があるので(ミサイルの)弾を買います』という話であれば、論理的には整合性が多少はあるのですが、『(北朝鮮の脅威が)差し迫っているけれども5年後に稼動するものを買う』というのです。『いま米朝関係が良くなって改善の兆しが見えてきた』と聞くと、(防衛省は)『危険性はまだ残っているので安心してはならない』という理由で数千億円の金をかけて導入をする。

 私が悔しいのは、『国にとって必要なのだ』と安倍総理や防衛大臣が言っていますが、片やトランプ大統領はテレビの前で『シンゾー安倍がアメリカから武器を一杯買ってくれるのだよ。日米の中で貿易摩擦があるから武器を一杯買ってくれるのだよ』と全世界中に向かって言っているのです。

 政府は『必要な武器を買うのだ』と言いますが、どういう角度から見ても合理的ではない。(アメリカとの)お付き合いで買わないといけないものを、この我々が住んでいる秋田に配備をすることに私はどうしても整合性は取れない。この議論は右とか左とかでも、リベラルでも保守でもない。我々が住んでいる目の前のこの地域に、これから何十年間も電磁波を出し、そしてミサイルの標的になるような基地を造ること自体、私は罷り通らぬと思うのです。

『理屈をこねくり回してもイージスアショアをどうしても買いたいというのなら、それでもいいですよ。ただ、寄りによって我々のあんな目の前に置く必要はないのではないのですか。そして(稼動するのは)5年後なのですから、もっと時間をかける道はあるでしょう。

 秋田に生まれ育った人間として、こういう扱いを受けるのは本当に悔しいのです。我々が育ってきた秋田は日本の倉庫でも何でもないのです。現に我々が住んでいて、子どもたちが生まれて住んでいる場所に、大した理由も説明もなく置かれることに私は強い憤りを感じますし、そのことに声を上げる与党議員がゼロであることに本当に情けなくなります。

 野呂田芳成先生という元防衛庁長官、自民党の大重鎮ですが、以前、地元の魁新聞のインタビューに対して『地元としっかりと協議をしてやるべきなのだ。そういうことを忘れているのはけしからん!』というようなお話をされていました。昔の自民党はそうでした。もちろん国が決めた方向、安倍総理が決めた方向はいろいろあるのかも知れませんが、地元から選出された(国会)議員がそれに対して地元の声をしっかりと伝えないと、国の言いなりになって『秋田は何も言わないから』と様々なものを押し付けられるようになったら、この秋田はもっともっと厳しい環境になると思っているのです」(寺田氏)

◆配備反対で野党が結集できるかどうか

 寺田氏は、さらにこう続けた。

「来年の参院選挙が国民にとって、秋田県民にとって、しっかりと今の政権に対して厳しい審判を下す最後のチャンスだと私は思っています。相手の(自民党現職の)中泉参院議員はイージスアショアの問題に関しては装備そのものの導入にも賛成ですし、新屋に配備することもはっきりと賛成と言っています。

 私は今度の7月の選挙で、この秋田県民が県民の矜持を持って、しっかりと安倍政権、そして現職の候補に対して『あなたのやっていることは違うのだ!』『秋田県民の考え方を聞け!』ということを有権者の皆様が票で示す最後のチャンスだと私は思っています。

 野党がバラバラになりまして、力が弱くなっているのも事実ですし、選挙の組み立てをするのも本当に苦労をしています。国民民主党さん、社民党さん、いつも応援をしてくれている連合の皆様、そして連合に集う議員の皆様、様々な方の意見を合わせてやっているのはなかなか大変で、昔よりも話を進めるのは大変なのですけれども、この間、いろいろ乱暴な議論もやりましたけれども『(県議の)沼谷純さんに次の参院選で立ってくれないか』ということを要請することを決めました。

 今日、これが終った後、二人で本音で話そうと思っていますが、『沼谷さん、やるべえ』(と声をかける)。

 やはり、ちゃんと意見を持って理念を持ってブレずに政府に対抗する。秋田のこと、国政と直結している課題に対してブレずに戦う候補者を立てて7月(の参院選)に臨まないといけないと思っています。本当の意味で日本、そして秋田を守る戦いになると思いますので、その7月に向けても是非とも皆様からご指導、ご協力を頂きながら頑張っていきたいと思っています」(寺田氏)

 参院選の出馬要請を受けた沼谷県議は元県庁職員で現在二期目。県議会では、イージスアショア配備反対の立場の質問を繰り返し、国会でこの問題を追及する寺田氏と密接な連携している。冒頭の挨拶で沼谷県議は次のように語っていた。

「私は、寺田さんに一市民として感謝をしたいと思っています。寺田議員の質疑の中で小野寺・前防衛大臣が『地元の組長の理解と協力が必須だ』という答弁を引き出してくれました。何回も寺田議員が食い下がって食い下がって、答弁を引き出したのです。その結果、県議会でも市議会でも『それでは、どうやって理解を得るのか』『知事さん、市長さん、どうするのですか』という質問ができるようになった。

 つまり答弁を引き出したからこそ、我々が県議会や市議会で質問をし、知事や市長が頭を悩ませて悩んでいただいている」「これからも寺田議員に頑張ってもらって、『イージスアショアは日本を守るためだ』と(政府は)言いますが、寺田議員には『秋田を守るために頑張ってもらいたい』と思っております」(沼谷氏)

 イージスアショア問題を国会と県議会で共に追及する寺田氏と沼谷氏が息の合ったところを見せた国政報告会の後は、同じ会場で立憲民主党秋田県連キックオフ大会が開かれて枝野代表が挨拶。囲み取材ではイージスアショア問題について、次のように語った。

◆配備に莫大な資金、本当に必要なのか

「『ミサイル防衛が我が国の安全保障の観点から重要性がある』ということについては我々も肯定的に受けて止めておりますが、イージスアショアについては一つには周辺住民の皆様に少なくとも心理的な不安を与えている。それから万が一、これが機能するようになった場合には近くには住民の方がいらっしゃるということで、実は国民の方を守ることとは逆の結果につながりかねないような事態を招くのではないかというリスクを抱えている。

『イージス艦の場合と比べてコストが安い』という見方もありますが、実際には配備に向けたお金も実はどんどん説明のたびに膨らんでいる状況であって『本当に必要なのかどうか』というスタートからより詳細な検討が必要だろうと思っています。

 ましてや秋田と山口、具体的な配備の白羽の矢が立っている地域については、それぞれの住民の方の理解が得られているという状況ではありませんので、少なくともこのまま強引に進めることは許される状況にはないと思います」

 筆者が「参院選でイージスアショア問題は大きな争点になると考えていいのか」と聞くと、枝野代表はこう答えた。

「本当であれば、沖縄の辺野古の問題も全国的な問題だと思います。なかなか沖縄以外では主たる争点になりにくいというように、秋田や山口では大きな争点になるのは間違いないと思っています。全国の皆様に認知、周知してもらうことができるのかどうかということについては、これからだと思います」

 辺野古新基地建設と同様、イージスアショア問題も全国的な争点になるべきとの考えを滲ませる回答といえるが、少なくとも秋田と山口で争点になるのは確実だ。参院選秋田選挙区と山口選挙区(共に一人区)は、イージスアショア配備の是非を問う与野党激突の構図になるのは間違いない。

<取材・文・撮影/横田一>

ジャーナリスト。小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)に編集協力。その他『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数

ハーバー・ビジネス・オンライン

あなたにおすすめの記事

Yahoo!ニュースからのお知らせ