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伊藤詩織インタビュー「性暴力はなぜ起こる」

12/6(木) 19:01配信

クーリエ・ジャポン

笑いながら闘う

──最近、笑っていますか?

はい、笑っています。つい先日、「笑っていよう」と強く感じるできごとがあったので。

──冒頭から妙な質問をしたのは、2度の記者会見で見せた表情や著書『Black Box』のカバー写真があまりに毅然としていたからです。

初めて実際に会う方からは必ずと言っていいほど、「笑われるんですね、意外と小さいんですね。もっと背が高いと思っていました」なんて言われます。きっとメディアで切り取られる瞬間の顔は真剣な表情が多いからですかね。

レイプに遭った直後は、被害のショックだけでなく、被害届を出すことの難しさ、被害再現など含め捜査中の負担の大きさ、レイプクライシスセンターなどサポート機関が受け皿になっていないことに直面し、性犯罪被害者を取り巻く日本の法的・社会的サポートの現状にがく然としました。

この現状のままではだめだと、司法記者クラブでの記者会見(2017年5月29日)に臨むことにしたのですが、会見の直後から中傷やバッシングに見舞われ、脅迫まで届いて、私はこのままこの社会でどうやって生きていけばいいのかと途方に暮れてしまいました。

そんなときにふと、記者会見で自分の伝えたいことは伝えたから、もう自分の人生をやめてもいいだろうという思いがよぎったんです。

でも、私が潰れてしまったり死んでしまったりしたら、「こういうことを話すと潰れてしまうんだ、やはり黙ってたほうがいいんだ」ということになってしまう。

だから一歩外に出たら、私は何があっても毅然と立っていようと決めました。家に帰るとくたくたの物体と化しているんですけれど(笑)。

──そんな闘いのなかでも「笑っていよう」と思ったのはなぜですか。

周りに笑顔にさせてくれる人々がいたからですね。

そして最近のことなんですが、10月5~7日にソウルで開かれた「アジア調査報道会議2018」に出席したとき、ある風刺画家の生き様にもとても感銘を受けました。ズナールさんという方なんですが、マレーシアで反体制的な風刺画を書いたために9回も逮捕・起訴され、刑期は計43年を言い渡されていたそうです。

体制を風刺する画のスライドを上映して、逮捕されてしまった理由を話しながら、観ている私たちと一緒になって朗らかに笑っているんです。

「なぜ帰国するのか? 他国に亡命すればいいじゃないか」というジャーナリストの問いかけに、彼は「だって闘い続けなければいけないから」と即答し、こう付け加えました。

「でも、笑いが法律で禁止になったりしたら終わりだな。そこに笑いがなくなったら闘えなくなる」

ジャーナリストたちが集まれば、どうしても暗い話題、重い話題ばかりになるけれど、そこに笑いを忘れてはいけないんだと私たちは教えられました。

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