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障害者は「お荷物」なのか 障害者雇用水増し問題から見える理想と現実〈AERA〉

12/7(金) 7:00配信

AERA dot.

 今年発覚した障害者雇用水増し問題。その背景から見えてくるものとは……。毎月話題になったニュースを子ども向けにやさしく解説してくれている、小中学生向けの月刊ニュースマガジン『ジュニアエラ』に掲載された記事を紹介する。

【図】法定雇用率の推移はこちら

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 あなたは将来、どんな職業につきたいですか? 具体的に思い描いている人もいれば、これからゆっくり考えたい人もいると思う。いずれにしても、大人になっていくなかで、働くことを通じて生活の糧を得て、自分らしさをいかして生きがいを見いだし、社会とつながりたい、と思う人は少なくないだろう。

 障害のある人も同じだ。ただ、障害者は何らかの機能障害があるために、働くことに困難を抱えていることが多い。例えば目が見えなかったり、言葉や数の理解が難しかったり、体調に波があったり。そこで、障害者雇用促進法は、国や企業などに働き手の一定割合(法定雇用率)以上の障害者を雇うことを義務づけている。障害のない人と同じように働く機会を保障し、能力を発揮して、自立した生活ができるようにするためだ。

 ところが今年8月、とんでもないことがわかった。率先して取り組むべき国の中央省庁の約8割が、障害者の雇用率に算入できる障害者の数を、実際より多くカウントしていた。「水増し」は昨年6月時点で、国税庁や国土交通省など27の行政機関で計3400人超。2.49%とされていた雇用率は実際は1.18%で、当時の法定雇用率2.3%を下回っていた。

 障害者団体などは、障害者の貴重な働く場が奪われただけでなく、誤ったデータで政策がつくられていたことになると指摘。数合わせの背景に、「障害者は『お荷物』。できれば雇いたくないという障害者排除の論理が透けて見える」とも話し、障害者の雇用政策の抜本的な見直しを求めている。

 さて、あなたは障害者と働くことをどう思いますか? 車いすを利用する身体障害者のために段差をなくしたり、知的障害者にイラストを活用した業務マニュアルを作ったり。そんな配慮がある職場は、誰もが働きやすいと思いませんか。ほんの少し障害者の視点に立てば、共に働く未来が見えてくるかもしれない。(解説/朝日新聞文化くらし報道部・森本美紀)

【キーワード:法定雇用率】
国や企業などに雇うよう求められている従業員数に占める障害者の割合。1976年までに国や自治体、企業などに達成が義務づけられた。現在の法定雇用率は、企業が2.2%、国や地方自治体などは2.5%。企業は従業員45.5人以上が対象。

※月刊ジュニアエラ 2018年12月号より

最終更新:12/7(金) 7:00
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