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認知症の薬は、使い方を誤ると怖い「副作用」を引き起こす

12/6(木) 13:00配信

現代ビジネス

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「日本でも使われている認知症の薬4種が、フランスで医療保険の適用から外される」

そんな情報がメディアをにぎわしたのは、2018年6月のことでした。外される理由は、「副作用の割に効果が高くなく、薬の有用性が不十分」と判断されたため、とのこと。しかし、そうはいっても厳しい臨床試験をパスして認可された薬です。本当に役に立たないのでしょうか。「副作用」とありますが、認知症の薬でどんなことが起こり得るのでしょう? 10月に出版された『あなたが介護で後悔する35のこと』の中から、興味深いエピソードを紹介します。(記事中の写真は、いずれもイメージです)
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抗認知症薬は頼れる薬なのか?

 認知症は他人事ではない。2025年には高齢者の5人に1人が認知症になるとの推計もあり(「平成29年版高齢社会白書」概要版)、もはや立派な国民病だ。あなたの親やパートナー、そしてあなた自身の誰かが認知症になる可能性は、きわめて高いといえるだろう。

 今のところ認知症を根治する治療はないが、主症状である物忘れ(記憶障害)を改善し、進行を遅らせる効果がある薬(抗認知症薬)として、ドネペジル(商品名「アリセプト」)、ガランタミン(商品名「レミニール」)、メマンチン(商品名「メマリー」)などがよく使われている。

 「薬がある」ときくと、読者は頼もしく感じるかもしれない。しかし、この抗認知症薬を要介護の母に服用させて、とんでもない目に遭ったというのが、関西在住のAさんだ。

実の娘のことを忘れ、混乱していく母

 Aさんがまだ40代の、働き盛りのころのこと。母が脳梗塞を起こし、認知症の症状が出始めた。

 「双子のように仲のよかった母が、私のことを忘れはじめたんです」

 たとえばあるとき、母がAさんの誕生日を忘れていた。それまでならあり得ないことだったため、ショックを受けたAさんは、つい、「なんで私の誕生日まで忘れんの!」「しっかりしてよ!」と、母を叱責してしまう。母子の仲はよかったが、だからこそ耐えられなかった。

 「最初は母の間違いを訂正したり、時にはうまく合わせてみたりしましたが、どんなに真正面から向き合っても、感じるのは空しさばかり。とにかくこれから私たち母娘がどうなるのかわからない。先がまったく見えず、不安でした」

 「なんとかしなければ」と一念発起したAさんは、ヘルパーの資格講座に通って認知症のことを学ぶとともに、介護技術を身につけた。

 「講師の先生からは、『あなたがお母さんの世界に入って女優を演じなさい』って言われました」

 つまり、母の言動を否定せず上手に合わせてあげなさい、ということである。認知症のため娘のことを思い出せなくなった母は、

 「あなたのお家はどこ?」
「お父さんはどこ?」
「お母さんはどこ?」
「Aちゃんはいつ帰るの?」

 とくり返す。それに何回も、何回も、何回も答えるのだが、つい「もう何べん聞くの!」「はいはい、もうわかりました!」と苛立ちの混じった言葉が口をつく。

 「24時間一緒にいたら、いい顔ばかりできっこないんです」

 しかし、それでも大切な母である。Aさんは介護保険のサービスを利用したり、住んでいる市の認知症家族会(介護をしている家族の交流の場)を利用して情報収集し、なんとか介護を続けた。

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最終更新:12/6(木) 13:00
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