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本庶佑氏がノーベル賞受賞会見で「小野薬品批判」を繰り広げた真意

12/6(木) 6:00配信

ダイヤモンド・オンライン

 2018年12月8日号の週刊ダイヤモンド第一特集は「日本人はもうノーベル賞を獲れない」です。20世紀に入ってから、日本は米国に次ぐ数のノーベル賞受賞者を輩出しています。今年10月、京都大学高等研究院の本庶佑特別教授のノーベル賞受賞が決まりました。その本庶特別教授から、記者会見で製薬会社を凍り付かせる発言が飛び出し、話題になりました。本庶特別教授の発言の真意はどこにあったのでしょうか。本誌に掲載した記事を、ダイヤモンド・オンラインで特別公開します。

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 がん免疫治療薬「オプジーボ」が、「夢の薬」ともてはやされる理由は、進行した患者に効果を示している点にある。例えば肺がん患者を対象にした海外での臨床試験(第3相)では、利用できる最良の治療より死亡リスクを約4割低下させた。

 オプジーボの開発で欠かせなかったPD-1分子を発見し、機能を解明したのが、京都大学高等研究院特別教授の本庶佑氏だ。

 医療用医薬品として承認を受けるためには、実際に人間での安全性や有効性を確認する臨床試験が必要。莫大な手間と費用がかかる。そのため本庶氏は付き合いのあった大阪の中堅製薬会社、小野薬品工業に話を持ち掛けた。紆余曲折の末、「小野薬品-米メダレックス(後に米BMSが買収)」の共同開発に託した。

 オプジーボが最初に承認を受けた適応症が悪性黒色腫で、小野薬品は2014年に国内で販売を開始した。以後、非小細胞肺がん、ホジキンリンパ腫、胃がんなど着々と適応症を増やしている(下表参照)。海外でも同様で、「夢の薬」に救われた患者が世界で増え続けている。

 米大手情報会社、トムソン・ロイターのノーベル賞有力候補に挙がったのは16年。今年の受賞はまさに、「満を持して」のものだった。

 その受賞決定会見で、小野薬品関係者を凍り付かせる言葉が本庶氏の口から飛び出した。

 「研究自身に関して小野薬品は何も貢献していない」

 そして、こう続けた。

 「(小野薬品は)ライセンスを受けているわけですから、リターンを大学に入れてもらいたい」「新しいシーズが生まれ、製薬会社に返っていくウィンウィンの関係が望ましい」「そのため小野に長くお願いしているわけです」

 大学との共同研究が盛んな製薬業界に激震が走った。当の小野薬品は、「基礎研究の段階でも幾つかの部分で貢献した」「本庶氏が特許を取得する際にも支援した」と釈明に追われた。

 実は、本誌は15年に本庶氏にインタビューを行っている。限られた時間の会見だけでは分かりにくかった本庶氏の発言の真意を、当時のインタビューから解き明かす。

● イノベーションのモデルケース故に 小野薬品と交渉する

 まず、両者で平行線をたどる「小野薬品は本庶氏の研究に貢献したか否か」について。

 本誌インタビューで本庶氏は「ほとんどが政府資金でやってきて、それが国民の役に立つようになったというのはハッピーなことだ。小野薬品も多少は寄付してくれたけれども、国の資金に比べたら、微々たるもの」と述べていた。

 また02年に仮出願した研究に関する特許について、「申請を出すときに、京都大学ではそのころまだ力がなかったから、小野に半分出させた」と話していた。実際、小野薬品は共同出願者になっている。

 故に、「何も貢献していない」発言は、本庶氏のやや誇張といえる。だが、それほどまでに小野薬品に対して不信感を抱く理由が何かあるのだろう。

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