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飲み薬・貼り薬・座剤… 薬の種類色々、どう違うの?

2018/12/7(金) 10:12配信

NIKKEI STYLE

スーちゃん

 風邪(かぜ)をひいたときお母さんと病院に行き、もらってきたせき止めや鼻水をおさえる薬を飲んだよ。薬といっても、丸く固めた錠剤(じょうざい)やカプセルなどいろいろな種類があるね。どうやって病気を治すのだろう。

■血液に乗って病気の場所に移動するよ
森羅万象博士より

 薬にはいろいろな形がある。粉や錠剤などの飲み薬、貼(は)り薬や注射剤(ちゅうしゃざい)、口や鼻からすい込む吸入剤(きゅうにゅうざい)、お尻(しり)に入れる座剤(ざざい)などがあるよ。使いやすさや保存(ほぞん)のしやすさも考えて、体内に入れて効果が出やすいように工夫されているんだ。例えば、粉のものは飲んだ後にすぐ吸収(きゅうしゅう)されて効いてくる。粒の表面に塗(ぬ)るものを変えると体内に溶(と)ける速さが変わり、ゆっくりと長く効くようにもできるんだ。
薬は病気の起こる仕組みに働きかける。病気は体内で生きるのに必要な物質が足りなくなったり、多くなりすぎたりすることなどで起こる。例えば、血中にある「コレステロール」というものを作りすぎると、血管が固くなって心臓(しんぞう)や脳(のう)の病気になりやすくなる。これに対する薬は、コレステロールを必要な量だけ作るようにうながすんだ。
薬の効き方を飲み薬を例にみてみよう。飲み薬は口から食道を通って胃に入る。そこで溶けて体内に取り込まれやすい形に変わり、小腸で吸収されて血管に入る。血液の流れにのり、病気の原因の場所へたどりつくんだ。血管を通って肝臓にいき、そこでさらに形を変えることで効き目が出る薬もある。働いた後は、肝臓(かんぞう)や腎臓(じんぞう)を通り、尿(にょう)として体外に排(はい)せつされるよ。
塗り薬や貼り薬は皮膚から薬を吸収する。湿布や軟(なん)こうのように、打ち身やねんざ、皮ふの病気などに使うよ。注射剤は早く効くのが特徴(とくちょう)だ。飲み薬だと体内の病気の場所に届(とど)くのに15~30分かかるけど、注射剤は1~3分ですむ。おしりから入れて、腸で吸収されて早く効くタイプもあるよ。
効き目の長さはさまざまだ。1日に3回飲む薬は6~8時間たつと、肝臓で分解されて効き目がなくなる。ゆっくりと分解される薬は効き目が長い。1日に1回使う飲み薬や、1カ月に1回だけ使う注射剤もあるよ。
飲み薬には食事の前や後に飲むものがある。例えば、胃の調子をととのえたり、はき気をおさえたりする薬は食事の前に飲むのが一般的だ。食べ物と一緒の方が体によく取り込まれるものや、刺激(しげき)が強くて胃があれたりするものは食後に飲むよ。
薬は病気を治したり症状(しょうじょう)をおさえたりするのに役立つけれど、余計な働きをすることもある。これを「副作用」というんだ。例えばかぜや皮膚アレルギーの飲み薬の場合、症状はよくなっても、眠(ねむ)くなることがある。車を運転する人などは気をつけないといけないんだ。
ほかにも皮膚(ひふ)の発疹(ほっしん)やはき気、げりや目まいなどの副作用が出ることがある。薬を使う回数や量をきちんと守っても症状が出たら、すぐにお医者さんや薬剤師(やくざいし)さんに相談しよう。薬を勝手にやめると病気が治りにくくなることもあるから、お医者さんの指示にしたがおう。
薬には病院でもらうものと、薬局で買えるものがある。病院からもらう薬は効き目が強い。薬局の薬はより安全なもので、かぜ薬のように、熱やせき、鼻水やのどの痛みなど、いろいろな症状に効くものが多いよ。
薬と食べ物や飲み物との相性も大事だ。例えば、コーラやコーヒー、紅茶(こうちゃ)には、神経を興奮(こうふん)させるものが入っている。一緒(いっしょ)に神経を静める薬を飲むと、効き目が弱まるんだ。グレープフルーツジュースを飲むと、血圧を下げる薬の効き目が強くなりすぎて危ないことがある。お酒をよく飲む人は肝臓が薬を分解しやすくなり、効き目が弱まる。納豆(なっとう)は血液を固める成分をふくむから、血が固まるのを防ぐ薬の効き目が弱まるんだ。
複数の薬を一緒に使うと効き目が弱まったり、強くなりすぎたりすることも多い。いつも使う薬はきちんとお薬手帳に書いて、お医者さんや薬剤師さんに見せよう。安全な薬を出してもらえるよ。サプリメントや健康食品は薬ではなくて、あくまで食べ物。足りない栄養を補(おぎな)うためのものもあるけれど、病気を治すものとしては認められていないよ。分からないことや気になることがあれば、お医者さんたちに相談してから使おうね。
■新薬開発、成功率は3万分の1博士からひとこと 薬は19世紀までは、植物や動物から取った素材で作ることが多かった。20世紀には化学的に合成する低分子薬の開発が盛んになった。安く量産できて、細胞(さいぼう)内にも入って働く。ただ、病気にかかわるところ以外にも働きかけることによる副作用が起きる。20世紀末には遺伝子(いでんし)を組みかえる技術を使い、特定の分子だけを狙う抗体(こうたい)医薬の開発が進んだ。2018年のノーベル生理学・医学賞受賞が決まった本庶佑京都大学特別教授の発見は、新たながん治療薬「オプジーボ」の開発につながった。最近は低分子薬と抗体医薬の長所をあわせ持つ中分子薬の研究が盛(さか)んだ。どの薬も安全性と有効性を確かめる臨床(りんしょう)試験(治験)をしてから、国が承認(しょうにん)して実用化する。治験はきびしくて、安全性を確かめる第1段階(だんかい)から、多数の患者で効果をみる第3段階まである。実施(じっし)するには多額の資金がかかる。新薬開発の成功率は3万分の1ともいわれるほど難(むずか)しい。
(慶応義塾大学の望月真弓教授に取材しました)
[日本経済新聞夕刊2018年11月24日付]

最終更新:2018/12/7(金) 12:15
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