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消費増税対策はなぜ景気の平準化に寄与しないのか~ポイント還元、プレミアム商品券は何のため?

12/7(金) 11:51配信

政治山

 来年秋の消費税率引き上げを控え、増税対策のメニューが固まってきた。キャッシュレス決済へのポイント還元やプレミアム商品券の配布、住宅や自動車関連の減税、などだ。

 多くの対策の狙いは、消費増税に伴う駆け込み需要と反動減を緩和し、景気を平準化することとされる。キャッシュレス決済へのポイント還元率も、当初想定の2%から5%に引き上げられた。対策の総額は、消費税率引き上げに伴う家計の負担増加額2兆円強に匹敵する規模になると伝えられる(2018年11月22日付け日本経済新聞朝刊)。

 だが、この増税対策は景気の平準化にあまり寄与しない。なぜだろうか。

駆け込み需要の反動減とは

 駆け込み需要の反動減とは、次のようなものだ。毎年100の消費を行う家計があるとしよう。消費税率の引き上げが実施される場合、この家計は値上げを見越して、増税前に101に消費を増やす。この+1が駆け込み需要である。

 一方、消費税率の引き上げ後は、99に消費を落とす。増税前に手当てした在庫が自宅にあるからだ。この-2が反動減である。翌年(2年目)には、消費は99から平時の100に戻るが、1年目の消費減退(101→99)が景気の「崖」をもたらす。

 すなわち、消費税率の引き上げは、駆け込み需要の発生・反動減を伴う分、景気の振幅を大きくしやすい。

ポイント還元の効果は?

 では、今回の反動減対策は、どのような効果をもつだろうか。キャッシュレス決済へのポイント還元を例に考えてみよう。

 今回政府は、消費税率引き上げ後の一定期間、中小小売店でキャッシュレス決済を行えば、国の補助金で5%分をポイント還元するという。5%の還元率は税率引き上げ幅2%よりも大きい。

 ならば、中小小売店でキャッシュレスを利用する人々は、増税前に駆け込むことはしない。増税後に実質的に安く買えるからだ。しかし、一定期間が過ぎ、ポイント還元の期限が近づくにつれて、駆け込み需要が発生してくる。期限が切れれば、実質5%の値上げになる。その結果、期限切れ後には大きな反動減が生じる。プレミアム商品券もおおむね同様の効果だ。

 結局、反動減対策が増税に伴う家計負担額と同額ならば、駆け込み需要の発生と反動減が1年程度先送りされるだけで、その後の景気の「崖」は変わらない(参考1試算例<ケースA>を参照)。

 景気の平準化にとって重要なのは、駆け込み需要を分散することである。もし試算例<ケースB>のように、反動減対策を消費増税に伴う家計負担額の1/2とすることができれば、駆け込み需要は分散され、1年目、2年目の景気へのインパクトは平準化される。増税対策の策定に当たっては、こうした経済効果のシミュレーションが欠かせないはずだが、いまのところそうした説明は聞かれない。

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最終更新:12/7(金) 11:51
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