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丸佳浩が「巨人で3番」になるために待ち構えている試練

12/7(金) 13:00配信

現代ビジネス

ものすごい自信

 2年連続でセ・リーグMVPに輝いた広島・丸佳浩選手の巨人移籍が決まりました。来シーズン、巨人は開幕カードを広島の本拠地マツダスタジアムで戦います。丸選手が打席に入った時、広島ファンは、どんな反応を示すのでしょうか。

 打ってよし、守ってよし、走ってよし。丸選手は三拍子揃った外野手で、これといった欠点が見当たりません。大きなケガでもしない限り、巨人はしばらく「3番センター」に苦労することはなさそうです。

 今季、丸選手が残した打撃成績の中でも特筆すべきはリーグトップの出塁率です。4割6分8厘は2位鈴木誠也選手の4割3分8厘を3分も引き離しました。

 ハイアベレージの理由のひとつとして、リーグ最多の130四球があげられます。丸選手の顕微鏡のような選球眼は、現役時代の王貞治さんを彷彿とさせます。

 現役時代、王さんが自信を持ってボールを見送れば、ほとんど例外なく審判は「ボール」とコールしました。これが世に言う“王ボール”です。一度、このことを王さんに質したことがあります。こんな答えが返ってきました。

 「はっきり言って、僕は審判よりもストライク、ボールの判定に関しては自信を持っていました。だから僕がボールと判断して見逃したのに、審判がストライクと言おうものなら、“審判が間違えたな”と思っていましたよ」

 ――ものすごい自信ですね。

 「いや、それくらいの自信がなければバッターボックスには立てません。特に2ストライクに追い込まれてからはね」

 まだ「世界の王」の域には達していないものの、丸選手も王さんと同じような気持ちでバッターボックスに立っているのではないでしょうか。近年は“王ボール”ならぬ“丸ボール”も散見されるようになってきました。

丸が歩かされた後の…

 さて丸選手が加わったことで、巨人で最も得をする選手は誰でしょうか。「得をする」というのは不粋な言い方ですが、ランナーを置いて打席に立つ機会が多くなるわけですから、丸選手の後を打つ4番、5番、6番バッターは昨年以上に打点を稼げる確率が高くなります。

 とりわけ昨季、打率3割9厘、33ホームラン、100打点と大ブレイクした4番の岡本和真選手にとっては、ありがたい存在です。打点王は現実的な目標と言っていいでしょう。

 V9巨人は1965年からスタートします。ここからの9年間で首位打者に4回、ホームラン王に9回、打点王に6回輝いた3番の王さんの実績に比べると、4番を打っていた長嶋茂雄さんは首位打者2回、打点王3回とやや見劣りします。

 それでも68年からは3年連続で打点王に輝き、勝負強さを印象付けました。「記録よりも記憶」。たとえ4打数1安打でも、その1安打に価値があるのが長嶋さんでした。

 長嶋さんと言えば今でも語り草のシーンがあります。1966年8月3日、中日のピッチャー板東英二さんは3番の王さんを敬遠しました。9回表2アウトランナーなしからの敬遠ですから、4番の長嶋さんが怒らないわけがありません。レストスタンドに飛び込む決勝2ラン。

 このシーンもそうですが、王さんが歩かされた後の長嶋さんはとにかくよく打ちました。まさに“燃える男”の真骨頂でした。

 来シーズンの巨人にも、以上のようなシーンがあるかもしれません。丸選手が歩かされた後の岡本選手のバッティングに注目です。ある意味それは、真の意味で「巨人の4番」になるための試練と言えるかもしれません。

二宮 清純

最終更新:12/7(金) 13:00
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