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【MLB】レッドソックス守護神候補、元広島・ブレイシアの日本でのホロ苦い転機

2018/12/11(火) 16:03配信

週刊ベースボールONLINE

 ワールド・シリーズのメディアデーで、レッドソックスの中継ぎ投手ライアン・ブレイシアのテーブルにアメリカ人記者が群がった。

 マイナー契約でスタートし、7月8日と昇格も遅かった31歳の新人が最速98マイル(約157キロ)の豪速球とスライダーを武器に、33回2/3を投げ、防御率1.60、29奪三振、7四球の活躍。世界一となるチームを支えていたからだ。

「本当にクレージーだよ、今年の1月、ワールド・シリーズ前の会見でこうやって皆さんの前で話す姿は想像できなかった」と笑顔になる。もとは2007年エンゼルスの6巡指名。メジャーでの実績は13年の7試合9イニング登板のみ。14年にはトミー・ジョン手術を受けた。その彼が17年、日本の広島カープ在籍を経て一皮剥けたことで、記者たちはコルビー・ルイスやマイルズ・マイコラスのような「日本野球で才能開花」のストーリーを期待した。

 だがブレイシアは期待に合わせることはなかった。「若いころは、力で押そうとしたけど、真っすぐだけでは打たれる。考え方が変わったのは手術を受けてから。コントロールに気をつけ、変化球を練習した」。15年、術後のリハビリ中にアスレチックスが契約、16年は同球団の3Aで46試合60回2/3を投げ、防御率3.56、70奪三振、19四球。その活躍を見てカープが声をかけたのだった。

 しかしながらカープでは「シーズン序盤は変化球がいま一つだったし、真っすぐの速度も上がらなかった」と、一軍と二軍を行ったり来たり。「3、4回は落ちたかな」と言う。17年10月26日、傷心の中、帰国した。「契約上、カープが希望すれば来季も残ることになっていたが、球団にその気がないのは分かっていた。まだ野球は続けたかったから、アメリカに戻って投げる機会を得ないとと考えた」とブレイシア。

 メジャー全球団にメールを送り、1月はアリゾナで10球団のスカウトを前に投球練習。しかしレッドソックスから声がかかったのは2月下旬で、行き先もマイナーキャンプだった。

 それでも3Aで実力発揮、課題だったコントロールは改善されており、メジャー昇格を果たした。もしブレイシアが17年、開幕直後から今のピッチングができていれば、18年もカープは引き止めていただろうし、彼もマイコラスのように、日本での経験を笑顔で語れたことだろう。

 だがそうはならなかった。17年の1年間はただ時間のムダだったのかもしれない。しかしながら彼はこうも言った。「前はよく四球を出し、二死から打たれることも多かった。日本で二軍に落とされたときに自分のピッチングと向き合った。カープの小林(小林幹英)コーチ、ジョニー(畝龍実コーチ)さんともよく話した。メカニックを安定させるために、繰り返し練習した」

 苦い経験だがそれが転機となった。今、背番号は70番だが、広島でも70番だったと明かす。「今から思えば良い前兆だったのかなと。幸運の女神かな。この番号はこれからもずっとキープするよ」。レッドソックスは現時点でクローザーのポジションが空いており、デーブ・ドンブロースキーGMは「ブレイシアも候補」と話している。

文・写真=奥田秀樹

週刊ベースボール

最終更新:2018/12/11(火) 16:03
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