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ロヒンギャの強引な送還の企てとミャンマーと中国の関係強化

2018/12/18(火) 12:40配信

Wedge

 バングラデシュとミャンマーは11月15日、ロヒンギャ難民のミャンマー送還を強引に始めようとした。何台ものバスを難民キャンプに集結させ、バングラデシュの軍がロヒンギャを無理やりミャンマーへ送還しようとするに至った。ミャンマーが承認して2200名のリストに載せられた者の多くは逃げ出し最寄りの森に駆け込んだという。その結果、両国の企ては未遂に終わった。

 11月15日は、両国が合意した帰還計画により第一陣が帰国する日だったというが、どうしてこういう強引なことになったのか定かではない。11月22日付けニューヨーク・タイムズ紙社説‘No Excuse for Myanmar’s Treatment for the Rohingya’は、中国の圧力を受けた結果だと指摘している。ただ、その根拠は不明である。ラカイン州のチャウピュ―が「一帯一路」の拠点とされており(昆明までのパイプラインが敷かれており、中国の国有企業「中国中信集団」(CITIC)などがチャウピューの深海港開発に関与している)、そのことと関係があるのかもしれない。アウン・サン・スー・チーをトップとする「一帯一路実施運営委員会」設立の見通しも報じられており、中国とミャンマーの関係強化の動きが強まっていることは間違いなさそうである。

 ロヒンギャ難民の自発的な帰還が実現する様子は一向にない。バングラデシュ国民のロヒンギャに対する感情は敵対的に変化して来ており、この一件は12月30日に予定される総選挙を睨んで政権与党のアワミ連盟が仕組んだものではないかとの憶測もある。

 また、バングラデシュにはベンガル湾の無人島ブハサン・チャール(Bhasan Char)に当面10万人のロヒンギャを移す計画があるという。この島はこの20年間にメグナ川の堆積土で形成された場所で、高潮の際には数十センチの水に覆われサイクロンに脆弱で危険な場所だが、バングラデシュの海軍と中国の建設業者によって住宅などが整備されたという。しかし、ロヒンギャが生計を立て得るような場所ではない。この計画は目下のところ棚上げされているらしい。

 ロヒンギャ問題は、全く解決の糸口が見えない状態にある。前出ニューヨーク・タイムズ紙社説は、「ミャンマーにまっとうな行動をさせるには国際刑事裁判所による訴追、制裁、旅行制限、資産凍結によってそれを強制するしかない」と主張するが、そうした強硬手段で解決するようにも思えない。また、同社説は「中国はミャンマーとバングラデシュに影響力を行使してもっと有用な役割を演じることが出来る」とも言うが、中国の役割に期待するのも如何なものかと思われる。

 役に立つかも知れないことは、ASEANが表立ってミャンマーに解決の必要性を説くことであろう。シンガポールのASEAN首脳会議に出席したマハティール首相は11月13日、記者団に「アウン・サン・スー・チーは弁護出来ないことを弁護しようとしているように思われる。彼女には失望した」と述べた。ASEANはお互い他国の事情には干渉したがらないが、それをやる胆力があるのはマハティールであろう。他にインドネシア、ベトナムが期待出来るかも知れない。迂遠に見えるかもしれないが、ASEANに彼等の地域が抱える問題の解決に自主的に取り組むことを強く促すこと以外に、あまり良い策は考えられない。

岡崎研究所

最終更新:2018/12/18(火) 12:40
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