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大正製薬、「大衆薬」1800億円巨額買収の勝算

2018/12/21(金) 6:00配信

東洋経済オンライン

 国内大衆薬首位の大正製薬ホールディングス(大正HD)が同社史上、過去最大の買収に踏み切る。

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 大正HDは12月19日、世界製薬大手の米ブリストル・マイヤーズスクイーブ(BMS)の大衆薬子会社であるフランスUPSA社を1800億円で買収することを発表した。

 大正HDの海外売上高は約320億円(2019年3月期見込み)。連結売上高2660億円(同)の10%強に過ぎない。ここにUPSAの売上高540億円(2017年度実績)が加わり、海外売上高は一気に860億円規模に急増。売上高に占める比率も25%超に急拡大する。

■パブロン、リポビタンDも伸び悩む

 京都・清水寺が選ぶ今年の世相を示す漢字「災」は、2018年に入っての大正製薬にドンピシャリの言葉だったかもしれない。

 今年5月に発表した早期退職優遇制度には、全社員の15%にあたる948名の社員が応募した。対象となる40歳以上に限って言えば、実に4人に1人が2018年末までに会社を去ることになる。「肩たたきはしない」という会社の言葉を信じるには、あまりに大量の人が退職する。2019年3月期の予想純利益は316億円。見かけ上はこれほど多くの人を減らす必要性は見えない。

 国内で20年あまり販売を続けてきた発毛剤「リアップ」の独占状態にも風穴が空いた。医薬品会社アンファーが8月に新商品を出したのを皮切りに、OTC(大衆薬)大手で強力なライバルのロート製薬もリアップ後発品「リグロ」を2018年11月に発売。大正以外に5社がリアップを猛追している。

 発毛剤以外でも、競合激化や国内市場の飽和で、看板商品である風邪薬「パブロン」やドリンク剤「リポビタンD」が伸び悩んでいる。

 OTCやドリンク剤などのセルフメディケーション部門以上に厳しいのが、大正HDのもう一つの事業柱である医療用医薬品だ。

 2002年に単独出資した中堅製薬の富山化学工業(現・富士フイルム富山化学)では、2018年7月末に富士フイルムHDへその持ち株すべてを売却した。大正HDと富山化学両社の販売専門会社だった大正富山医薬品は、大正HDの完全子会社に変わったが、2019年3月末で富山化学の分の薬の販売はなくなる。富山化学との約16年に及ぶ提携は、ほぼ成果をあげることなく消え去った。

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最終更新:2018/12/21(金) 10:44
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