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箱根駅伝の達人・碓井哲雄が語る、青学優勝をはばむ3条件とは?

2018/12/26(水) 7:31配信

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 「こんどの箱根駅伝も、青山学院の優勝ですかねえ?」

 師走に入り、箱根駅伝が近づいてくると、こう私に尋ねる人が増えてきました。それに対して私はこう答えます。

 「順当にいけば青山学院が勝つでしょう」

 それだけ青山学院大の戦力は抜きんでているのです。

 しかし駅伝に絶対はない。とくに1区間の距離が長い箱根駅伝はなおさらです。これは選手として3回(10区、2区、2区)走って中央大5連覇、6連覇に貢献、その後は母校の指導者として、また日本テレビの解説者として、箱根駅伝にかかわって55年という、私の経験から自信をもって言えます。

 自著『箱根駅伝 強豪校の勝ち方』(文春新書)にも書きましたが、「よくて8割の自信で、あとの2割は神頼み」というのが箱根駅伝なのです。

 そこで私の知識、経験を総動員して、どんな条件がそろえば、王者・青山学院が敗れるのか。それをシミュレーションしてみましょう。

2チーム作れる青山学院の層の厚さ。

 そもそも、なぜ青山学院は勝てるのか。誰もが口を揃えるのは選手層の厚さ。箱根に出場できるチームを2つ作れるのではないかと思えるほどです。スーパースターはいないが、逆にいえば誰が出ても力の差がない。

 一般的にいえば選手層の厚さは両刃の剣で、「たいしてタイムも変わらないのに、なんでアイツが試合に選ばれるのだ」という不満がチーム内に生まれやすいもの。それでも青山学院が4連覇を達成しているのは、原晋監督の統率力の賜物でしょう。

<条件その1>1区で外国人選手が飛びだす。

 この青山学院に勝つことのできるチームはどこか。はっきりいって東海大と東洋大です。それに駒澤大がからむ可能性はありますが。

 とはいえ、残念ながら東海大と東洋大が自力で波乱を起こすのは難しい。他のチーム、選手のお膳立てが必要です。この「お膳立て」とはなにか。それは1区で外国人選手が飛び出すことです。

 日本大のパトリック・ワンブィ選手、山梨学院大のドミニク・ニャイロ選手、拓殖大のワークナー・デレセ選手といった力のある外国人選手が固まって飛びだすと、日本人選手ではついていけません。これが波乱の起きる第一条件です。

 1区が日本人選手だけだと、いわゆるダンゴ状態になりがちです。すると集団のペースが出来あがり、そこから抜け出すのが難しくなる。本来の力の差が出ないわけです。そこが全員が一斉にスタートする1区、集団走の怖さです。

 しかし力のある外国人選手であれば、日本人選手の集団から抜け出すことができます。彼らが青山学院に1分以上、できれば2分の差をつけて、2区にタスキをつなぐ。こうなれば期待がもてます。

 ところが、なにを忖度しているのか、こうした外国人選手を1区に起用せず、2区に配するチームが多い。これでは宝の持ち腐れです。下位でタスキを受け取っても、せいぜい、何人抜いたとか、区間最高タイムといった話題を提供するだけ。勝負にはまったく影響しません。強い外国人選手のいるチームは勝負に徹してもらいたいものです。

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最終更新:2018/12/26(水) 7:31
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