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徴用工判決は文在寅政権のせいだけではない ガラパゴス化する韓国司法の深過ぎる闇

2018/12/29(土) 6:00配信

デイリー新潮

 韓国の艦艇が国際常識に反して自衛隊機に火器管制レーダーを照射していた問題まで判明し、日韓関係は悪化の一途をたどっている。いわゆる徴用工訴訟で国際的な合意を無視し、日本企業に賠償を命じた韓国最高裁の判決もあって、日本では「反日・親北朝鮮」の文在寅(ムン・ジェイン)政権だからこそ起きた事態だとの見方がある。ただ、政権の指向と無関係とはいえないが、韓国司法のトンデモ判断は文政権に限ったことではない。韓国司法の根深い“ガラパゴス”ぶりも背景にある。

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 まずは、文在寅大統領が12月14日、日韓議員連盟の額賀福志郎会長らとソウルで会談した際のやり取りを、韓国大統領府の発表を基に紹介したい。徴用工訴訟に対する文氏や韓国社会の受け止め方、加えて、韓国政府がどの点を強調して韓国民や国際社会に伝えたいかがよく分かるからだ。

 戦時徴用をめぐる最高裁判決について、文氏は「韓国政府は三権分立を尊重しなければならない。今回の判決も基本協定を否定するものではない」と前置きした上で、「協定は有効だが、労働者個人の日本企業への損害賠償請求権まで消滅したのではないとみなすものだ」とし、こう説明した。

「韓国政府は十分な時間をかけ、各部署や民間、専門家たちが集まり、解決策を模索していく計画だ」

 さらに「両国民の敵対感情を刺激しないよう、慎重で抑制された表現が必要だと思う」と、強い表現で繰り返し抗議を表明してきた日本側にクギを刺した。

 文氏が基本協定と言っているのは、1965年の日韓請求権協定のことだ。日本政府が個々の韓国人元徴用工らに補償する代わりに韓国政府に一括して巨額の経済支援をすることで、請求権問題は「完全かつ最終的に解決済み」(河野太郎外相)との認識を日韓両政府は共有してきたはずだった。個人の請求権が消滅していようがなかろうが、その後は韓国政府が補償を担うべき問題だ。

 日韓関係の法的基盤が揺らぎ、元徴用工や遺族らによる駆け込み提訴が相次ぐ恐れがある中、文氏は悠長にも「十分な時間をかけて」解決策を探ると述べ、騒ぎ立てないよう日本側をたしなめさえしているのだ。日本側の危機意識との落差に愕然とする。

 続いて「問題の本質は植民地支配による人権侵害だ。日韓は被害者らの名誉と尊厳の回復のために共に努力しなければならない」との意見が出た。韓国側でなく、日韓議連顧問で日本共産党委員長の志位和夫氏の発言だ。「個人請求権は消滅していないと日本政府も国会で答弁したことがある」とわざわざ付け加えた。

 これにつられ、額賀氏も「個人請求権がいまだ消滅していないことは日本政府も認めている」と言及。「半面、外交保護権を放棄したとの認識もあり、日韓両政府が互いに確認する必要がある」と述べた。その後は、北朝鮮問題をめぐる文氏の活躍をたたえ、対北問題や未来志向的関係に向けた協力を確認し合い、会談を終えた。

 これでは、日韓双方が元徴用工らの個人請求は消滅していないと再確認し、問題解決に向けて努力していこうと一致しただけではないか。少なくとも韓国大統領府の発表の力点は、その辺にあるのだろう。韓日議連との合同総会で採択した共同声明には、徴用工判決などをめぐる「深い憂慮」が明記されたというが、肝心の文氏に対して日韓議連は、安倍晋三首相や日本国民の「怒り」を伝達するメッセンジャーの役割さえ果たせなかったことになる。

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最終更新:2018/12/30(日) 12:55
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