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ご意見番が選ぶ2018年ギャンブル業界10大ニュース

2018/12/30(日) 15:50配信

週刊SPA!

POKKA吉田&木曽崇のギャンブル放談<8>

◆ギャンブル等依存症対策基本法の成立とギャンブル業界

 ぱちんこジャーナリスト・POKKA吉田氏とカジノ研究家の木曽崇氏がギャンブルをキーワードに言いたい放題しゃべりまくり、斬りまくる『POKKA吉田&木曽崇のギャンブル放談』。今回は2018年の総決算として、ギャンブル業界のご意見番であるおふたりが選んだこの1年間の『ギャンブル業界10大ニュース』についてしゃべり納めをしてもらった。

●POKKA吉田氏が選ぶ2018年ギャンブル業界10大ニュース

1 改正規則施行

2 IR実施法成立

3 ギャンブル等依存症対策基本法成立

4 Mリーグ発足時の「ゼロギャンブル宣言」

5 オジュウチョウサンが有馬記念出走へ

6 仁川パラダイスシティが拡張

7 ビットコインバブル崩壊?

8 気が付けば前園さんが依存症理解啓発サポーターに

9 自民党有志議員らで「頭脳スポーツとしての健全で安全なマージャンを推進する議員連盟」設立

10 Mリーグで二階堂亜樹さん大健闘中

●木曽崇氏が選ぶ2018年ギャンブル業界10大ニュース

1 祝・カジノ合法化

2 ギャンブル等依存症対策基本法の成立

3 Mリーグ発足

4 6号機導入開始

5 宝くじ、ネット販売へ本格移行

6 大阪万博の開催決定と夢洲IR構想のゆくえ

7 eスポーツの興隆と五輪メダル競技落選

8 世界的な「ガチャ」規制の広まり

9 岩手競馬、競馬法違反が続出

10 パチンコ「設定機」導入

──2018年、お疲れさまでした。こうしてみると、やはり同じトピックを選ばれていますね。順位に業界の色は出ていますけど。

POKKA吉田:ぱちんこ業界人らしく、「改正規則施行」を1位に据えました。以前の対談でも言っているけど、パチスロもぱちんこもこの改正規則に対応した機械のポテンシャル自体は高いはずで、俺は基本的には好意的に見てます。ただ、それぞれ保通協(※保安通信協会=国家公安委員会の指定試験機関)による型式試験にかなり問題があって、改正規則のポテンシャルを最大限に発揮できている機種が出たとは必ずしもいえない年でした。現に、ぱちんこの販売台数の上位はみんな旧規則機だし、パチスロに至っては、6号機の型式試験の適合率が低すぎるせいで、総販売台数が激減しています。2017年に比べて去年は半分近く減っているんですから、確実に官製不況ですよ。ただその中で「HEY!鏡」(大都技研)は3万台以上売れていて、6号機の総販売台数の半分以上を占めるほど。“「HEY!鏡」とその他大勢”みたいな構造になってました。2019年はこれに続く新しい6号機の登場が待たれますね。

木曽崇:パチスロ6号機の話題は、僕は4位に挙げてます。改正規則の目指すところは、「ぱちんこ・パチスロは賭博ではなくて遊技である」という定義の明確化ですね。これまでは、ある意味、賭博業に足を踏み入れていた状態が長らく続いてきたんですが、射幸性を抑えることによって、『賭博以下の射幸性をもった遊技』という本来の形になったのかなぁというふうに見ています。低射幸性のものに移行し、今までとは違った別の遊びに変わるという点で、ファン離れは避けられないでしょう。今後賭博との棲み分けをどうしていくかが、重要になってくると思います。その点で、この業界の遊技が今後存続していけるかどうかの試金石になりそうなのが、10位に挙げた、ぱちんこの「設定」導入。設定を入れるということは、一定程度のゲーム性を出していくという意味ですからね。これがうまく機能するのか、注目していますよ。

──木曽さんはやっぱり、「日本カジノ合法化」が1位ですね。

木曽崇:僕はカジノ業界人なので、最長20年ぐらいかかっての案件なので、やっと合法化してよかったね、っていう感想しかないです。

POKKA吉田:おめでとう!

木曽崇:ありがとうございます(笑)。2018年に合法化はしましたけども、2019年夏に国側から基本方針というのが発表されて、それに沿ってだんだんと現実味のある話がこれから出てくるんですよ。年明け以降に大きなニュースがあちこちから飛び交うことになります。

──まだ手放しで喜んでいい段階ではないんですね。

木曽崇:日本のIR整備法は、回数制限や入場料などの入退場管理に関して、世界のカジノと比較してもかなり厳しいレベルの規制を設けています。これによって需要が確実に抑制されるという条件下で、カジノ事業者さんは、日本のカジノ事業に1兆円を投資すると言っているんですよ。もちろんこういう数字は一種のブラフみたいなもので、どこの国でも最初に挙げる数字は大きいんです。この1兆円を、彼らがいつまで挙げ続けるのか。外野として見ている人たちとしては、一番の見どころだと思いますよ。

POKKA吉田:大阪は、万博決定と夢洲IRの件も絡んでわちゃわちゃしてるよな。夢洲IR自体はまだ決定していないよね?

木曽崇:そうですね。大阪府政を担っている維新の会は、2024年の開業を目指すと言って、これを政策の柱にすえて来年の選挙を戦う予定です。大阪の今の状況っていうのが今後の日本のIR導入にとってはいちばん試金石になる動きなので、そこは業界人として見守っていかなきゃいけないよね、という状況です。

POKKA吉田:日本のカジノ・IRに行ってみたいっていう人は、先に韓国の仁川パラダイスシティに1回行ってみたらいいと思う。施設が拡張してきれいになってるし、極東アジアの情勢がよろしくない影響なのかそんなに混んでもいないから、むっちゃ快適に過ごせます。

木曽崇:日本人ディーラーもいますしね。日本企業さんが、とくに日本人のお客様を対象にして開発をしたっていう意味では、日本の未来のカジノの在り方を占う存在でもありますよね。

POKKA吉田:本来、これを1位に掲げたかったんやけど、どうもカジノ合法化ありきで「こっち先やっとくか」感が否めないんだよねぇ……。政府与党プラス維新が、IR実施法を成立させたいがためだけに作ったような法律。ギャンブル等依存症対策を真剣にやりましょうっていう法律には見えないのよね。与党・政府のやる気を感じない。

木曽崇:POKKAさんは法制化の過程に対して厳しい目で見ているんですね。僕は、各団体が任意でやってた依存症対策が法制化されたということは、この連載の共通テーマのギャンブルにとってはすごく大きな出来事だったと思います。今後は産業そのものの成長と同時に、弊害の抑制の両軸で論議を進めていかなくてはいけなくなったという意味では、大きいと思う。

POKKA吉田:最近サッカー元日本代表の前園真聖さんが「依存症理解啓発サポーター」に任命されたよね。彼は2013年の飲酒暴行事件以来、お酒を1滴も飲んでないんだってね。酒乱と依存症って、厳密にいえば違うような気もするけど。酒で下手打った人がギャンブルや薬物の依存症理解啓発サポーターになってるってほうが、メッセージ性が強いっていう判断なのかな。

木曽崇:当事者の人がちゃんと回復して社会復帰している姿っていうのは、現依存者の人にとっては、励みになるかもしれませんね。ただこれ、前園さんが全部の依存症を担当するの?

POKKA吉田:本気でギャンブル依存症の怖さをPRするんだったら、貴闘力とか大王製紙のムスコがサポーターをやったらええのに(笑)。

木曽崇:依存症対策基本法関連でいうと、基本的に遊技業も含めて、ギャンブル等の業界というのは、すべてが成長と弊害の抑制っていうのをバランスとりながらやっていきましょうということになっているんだけども、いまのところ宝くじだけは蚊帳の外になっていて、拡大路線が続いてるんですね。「宝くじのネット販売」っていうのもある意味、もう最終局面という状況。ガチャですら規制の論議が始まっているのに、宝くじの独走状況はいつまで続くのかなぁ。

──宝くじもガチャも、スマートフォンで気軽に楽しめるので、利用する側にも、ギャンブルをやっているという意識は薄いかもしれませんね。

POKKA吉田:この前の有馬記念は買ったわ。オジュウチョウサン、熱かったねぇ。枠順抽選で武豊が1枠1番引いたとこから、ドラマが仕組まれてんのか!? って思ったし、オジュウの経歴もいい。平場のレースでは勝てなかった馬が、たまたま障害レースでチャンピオンになって、平場に返り咲くっていうね。しかも有馬記念を走っちゃアカン馬なのに5番人気なんだから。当てようと思ったらあんな馬買わないんだけど、競馬ファンやったら買ってしまうんやろね。それでも、ゲートが開いてからしばらくハナいったからね。びっくりしたわもう(笑)。ギャンブルにこんなドラマあんねやって。めちゃめちゃすごいドラマやったと思います。

木曽崇:POKKAさんの熱量がすごいな(笑)。

POKKA吉田:結局9着で負けたけどね(笑)。終わってからいろいろ考えちゃうね、競馬は。好きなギャンブルだと勝っても負けてもあれこれ言いたいもの。その点、ビットコインは、価格が下落してからは誰も話題にせぇへん。仮想通貨は好きとか嫌いとかいう次元じゃないんかな。

木曽崇:じゃあ僕は地方競馬の話で。年の瀬の岩手競馬のドーピング問題は、「やっぱりな」という印象です。4頭のドーピング発覚後、11月にレース再開したけれど、12月25日に5頭目のドーピングが発覚して1月7日までレース休止になったんですよ。

POKKA吉田:またかいな。確か前回は、「外部のしわざや!」ってことで、厩舎に監視カメラを付けたんよね。

木曽崇:そう。犯人も目的も原因も解明されないまま、監視カメラを付ける対応をとって再開されて、再び不正薬物が検出された。岩手競馬の場合は岩手県が主催者・事業者の立場なので、何か問題が起こっても自分でやめられないんですよね。岩手県知事自身が言っているんですが、競馬で収益を出すこと・赤字化しないことが最大の命題になってしまっていて。ファンにとって公正なルールのもとでの競争ができていないっていうのは、決して健全な状況ではないですよね。残念ながら、公営競技の業界構造上の問題が出ているのかなぁと思います。

──eスポーツと麻雀では、五輪メダル競技化を目指す動きがありましたよね。

木曽崇:今年は本当にeスポーツにとっては飛躍の年で、流行語大賞にもノミネートされるぐらいだったんだけど、最後の最後で12月に五輪メダル競技から落選したんですよ。今後も賞金制大会というかたちで日本では続いていくんだろうけど、このスポーツ路線っていうのは、維持できるのか、どういうふうに帰着するのか、改めて興味を持っています。最終的には入場チケットや放送権を売るなりして興行化を進めないと、ビジネスとして立ち行かなくなりますよね。まだまだこれから、という感じです。

POKKA吉田:自民党有志議員らで「頭脳スポーツとしての健全で安全な麻雀を推進する議員連盟」も設立されたよね。ほんで2022年の北京冬季五輪での正式競技化を目指すっていう。Mリーグ発足時の「ゼロギャンブル宣言」もそうやけど、「ギャンブルとは無縁じゃないよ!」って自ら宣言してるのと同じです。よくぱちんこ業界でも「健全化」って言葉を使うけど、健全な業界は「健全化」なんて絶対に言わないから! だから、Mリーグの藤田晋さんと川淵三郎さんは、麻雀がギャンブルと無縁じゃないってことを認めつつ、我々だけは無縁で行くと宣言したわけ。ここまで正面切って言うのは、業界初じゃないかな。すごいことやと思うわ。

木曽崇:歴史的経緯のなかで、不健全であり安全でない麻雀が広がったことは事実です。こういった宣言に対して麻雀業界側からも反発があるなかで、あえてその点を旗印にあげてちゃんとメッセージを発するということは、僕はむしろ良いことだと思っています。タブー視することは今の業界構造を維持しますってことにしかなりませんから、健全化のためにそこに切り込んでくれて良かったと思いますよ。

POKKA吉田:Mリーグでは、二階堂亜樹さんの話はハズせませんね。かわいらしくて人気のある女流雀士が、ちゃんと健闘して個人成績で今上位におるからね。なんならトップまで行って、「客寄せパンダやん」とか言ってる人らをドン引きさせてほしいよね。萩原聖人さんとのワン・ツーとか見てみたいわぁ!

木曽崇:僕は逆に、実力派と言われてきた雀士たちをすごく応援してきたので、そこはPOKKAさんとは相容れないな(笑)。お互いの推し雀士がボッコボコにやり合うのを楽しみにしてます。

【POKKA吉田氏】

ぱちんこジャーナリスト。パチンコ業界紙『シークエンス』の発行人・編集長。近著に『パチンコが本当になくなる日』などがある。メーカーが主催するセミナーで講師も務めている。 Twitter:@POKKAYOSHIDA

【木曽崇】

国際カジノ研究所所長。日本では数少ないカジノ産業の専門研究者。近著は『「夜遊び」の経済学 世界が注目する「ナイトタイムエコノミー」』(’17年、光文社新書) Twitter:@takashikiso

取材・文・構成/野中ツトム、松嶋千春(清談社)

【勝SPA!取材班】

SPA!が運営する日刊SPA!内のギャンブル情報サイト「勝SPA!(かちすぱ)」の取材班。Twitter(@kspa_official)

日刊SPA!

最終更新:2018/12/30(日) 15:50
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