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東海大、箱根初制覇の一因。阪口が生み小松が喜んだ「最高の4秒差」

1/5(土) 9:30配信

webスポルティーバ

東海大・駅伝戦記 第43回

 東海大の阪口竜平(りょうへい/3年)が平塚中継所(8区)に入ってきた。手を上げた小松陽平(3年)が待っている。「頼む」と襷(たすき)を渡した時、トップの東洋大とは4秒差だった。

■東海大が悲願の初優勝。快走の布石は昨年の箱根から始まっていた

「絶妙のタイム差」。小松はそう思ったという。この差が、この後の小松の区間新という快走を生み、東海大の箱根初優勝の夢を一気に現実のものとした。

 一体、「絶妙な4秒差」とはどのようなものだったのだろうか。

「オレが前を抜きたいから、10秒ぐらい負けて(遅れて)来てくれ」

 レース前、小松は冗談でそんなことを阪口に言っていたという。

 7区の阪口がスタートした時点でトップの東洋大との差は1分8秒。開いてはいるが、決して追いつけない差ではない。6区で山を下ってきた中島怜利(れいり/3年)は、こんな思いを抱いていた。

「東洋大の7区の小笹(椋/4年)さんは実力のあるいい選手ですが、阪口が非常に好調だったので、かなり差を詰められると思っていました」

 少なくとも東洋大の背中が見える位置までは追えると、中島は確信していた。

 その阪口だが、襷を受けるまでは東洋大を追うために、まずは突っ込んで走る覚悟でいた。だが実際は、やや抑え気味に走り始めた。両角速(もろずみ・はやし)監督から「前半は落ち着いていけ」という指示が出たからだ。

「区間新、区間賞を狙っていきたかったので、それには最初突っ込んでいいかなと思っていたのですが、両角先生に少し抑えて走るように言われました。後半に余力を残しつつ、東洋大との差をいかに縮めていくか……だけを考えて走ることにしました」

 それでも地力に勝る阪口は軽快な走りで前を追い、二宮ポイント(11.6キロ地点)では48秒差となり、17キロ過ぎでは約20秒程度の差になった。東洋大の小笹の姿が見え始め、さらにギアを上げた。前半セーブしていた力を発揮し、20キロを超えると8秒差まで迫った。

 阪口は小笹に近づくと、その差を正確に把握しようとした。小笹が道路の白線を踏んだ時のタイムを確認し、阪口がそこを通った時を見ればタイム差がわかる。そうして自らタイム差を計測していたのだ。

 タイム差を把握し、相手の背中が見えると普通は一気に抜きにかかるところだ。当然、阪口もそのつもりで必死に追った。阪口が振り返る。

「残り200mで一気に抜こうと思ったんですよ。でも、近づいて抜こうとすると小笹さんがスピードをあげるんです。そういうのもあって、なかなか追いつけなくて……。これが4年生の意地なのかなと思いましたけど、自分もきつかった。最後は、そこで抜くよりも、どのくらいの差で小松に(襷を)渡せるかを考えて走りました」

 小松に10秒以上の差で渡すと、追いつくまでに突っ込んでいかなければならない。だが、5秒差以内だとそれほど無理することなく、相手に並ぶことができる。阪口は言う。

「小松もちょっと負けているぐらいでちょうどいいと言っていたし、その後のレース展開を考えると相手のうしろについて走る方が効率いいので、そのまますんなりうしろにつけるタイム差でいければと思っていました」

 襷を待つ小松は、15秒差ぐらいまでは離れても問題ないと思っていた。

「今の自分の調子のよさを考えると、そのくらいの差であれば必ず追いつけると思っていました。実際、どのくらいの差で来るのかなぁ……と思っていたら4秒差という、もう最高に絶妙なタイム差だった。阪口、サイコーだよって思いました」

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