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レジの店員が全員マスク!顧客に不快な思いをさせる接客はNG

1/8(火) 6:00配信

ダイヤモンド・オンライン

● 顧客軽視のメッセージが 伝わってもよいのか

 店員総マスクの理由をあれこれ推察してみた。

 仮に、店員の体調が悪く、咳をしてしまうことがあって、来店客に風邪をうつしたり、不快な思いをさせたりしないようにする配慮であれば、むしろ、体調が悪い店員を、ある程度空調は効いているとはいえ、2階以上に比べれば暖房は効いていない、出入り口からの風も入ってくる1階受付に立たせておくことは、労務管理上気になる点だ。

 逆に、店員の健康を守る措置であればどうだろうか。風邪を引いたお客が来て、至近距離で対応すれば、店員が風邪をうつされてしまうかもしれない。しかし、だからといって、会話が成立しづらいうえに、来店客に多分に誤解を与えるような表情をもたらすリスクを負ってまで、受付店員がそろってマスクをして、張り紙までするべきだろうか。

 レジでの作業は、書籍を受け取って、必要ならカバーをかけて、代金を受け取って、レシートを返すだけだ。会話は不要、表情も大して気にならないだろう、という考え方もあるかもしれない。しかし、もしそのように考えているのであれば、来店客対応を放棄していると言われてもしかたあるまい。

 もはや、オンラインストアに顧客が流れるのは当然だ。私も、帰りがけに通ったのでその書店で書籍を購入しようと思ったが、翌日配達まで待てるのであれば、オンラインストアで注文すればよかったという思いがよぎった。

 オンラインストアであれば、コミュニケーションが成り立たないということはない。入力内容は明確に示されるから、確認は簡単だ。少なくとも不快ではない普通の画面で、「ありがとうございました」という表示もされる。何を言っているかわからなかったり、にらまれているように思ったりすることは全くない。

● 来店客対応に力を注げないなら セルフレジの方がマシである

 書店業務は立ち仕事で、意外に重労働、人手不足の影響を真っ先に受けているという。来店客対応にエネルギーを注ぐ余地もなければ人手も足りないということであれば、設備投資は必要になるが、スーパーなどで導入しはじめている、セルフレジにした方がまだよい。機械音とはいえ、「ありがとうございました」という音声が流れるからだ。

 繰り返すが、本人にそのつもりが全くなかったとしても、また、経営者がそのように意図していなかったとしても、受付カウンターの店員全員がマスクをして対応しているということは、「顧客と明瞭に会話するつもりはありません」「顧客ににらんでいるように思われても構いません」「顧客に配慮していません」というメッセ―ジが伝わってしまうのだ。

 先入観を持つまいと自戒してはいるが、同書店では、入り口のすぐ左に大きな掲示板が設置されており、「お客さまの声」が張り出されている。顧客の声を尊重するという姿勢を表しているに違いない。しかし、掲示されている内容は、8月に寄せられた顧客の声だ。

 経営者にそのつもりがなくても、顧客に伝わるメッセージは、「顧客の声をまじめに取り上げていません」「取り上げるまでに4ヵ月近くかかる、対応が遅い組織です」というものになってしまうのだ。わが国を代表する書店の旗艦店の顧客対応がこれでは、業界全体を危惧してしまう。それとも、Amazon相手に厳しい戦いを強いられている書店に、このようなこまやかな顧客対応マインドを期待すること自体が、無理な話なのだろうか。 

山口 博

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