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宇宙で始まった欧米の新バトル 経済版スターウォーズの勝者は?

1/9(水) 12:05配信

ニューズウィーク日本版

<シリコンバレーの巨大IT企業が投資家の関心を集めるがヨーロッパの宇宙ベンチャーが激しく追い上げる>

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(この記事は「世界経済入門2019」の1記事)

宇宙国家「アスガルディア」構想が始動:軌道上から地球を防衛、国民も募集中

冷戦時代に米ソが雌雄を競い合った宇宙空間は今、世界中の企業がしのぎを削る一大市場に変わろうとしている。それも、飛び切り巨大な市場に。

バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチによれば、宇宙ビジネスの市場規模は30年以内に3兆ドルに迫る。これは現在のスマホ市場の約8倍、成長著しいAI(人工知能)市場の約140倍に成長する勢いで、同社が「投資分野で最後のフロンティア」と評価するのもうなずける。もはや宇宙を語らずして世界経済の先行きを見通すことは難しい。

では宇宙ビジネスを牽引するのは誰か。多くはイーロン・マスクと答えるだろう。火星移住計画や月旅行などの大胆な宇宙事業で注目を集めているだけでなく、メディアに対する挑発的な言動も相まって宇宙ビジネスの申し子のように語られる。

しかし、実際に宇宙ビジネスをリードするのはマスクを含めた「シリコンバレー連合」と言うのが適切かもしれない。つまりアメリカのIT企業だ。

宇宙ビジネスは多岐にわたるが、大きく2つの分野に分けられる。打ち上げと衛星データだ。宇宙へ行くための手段である打ち上げ事業とデータビジネスはこの産業の両輪だが、注目を集めているのは衛星データビジネスだ。

米投資銀行のモルガン・スタンレーは2017年、宇宙ビジネスの成長から最も利益を得ると見込まれる企業20社を「SPACE20」として選定した。

20社には、グーグルやフェイスブック、それにマイクロソフト、クアルコムなどアメリカのネットや通信系企業がずらりと並ぶ。衛星データビジネスは、簡単に言えば人衛星を使って地上のあらゆる動きをデータとして集め、それを必要とする政府機関や企業に提供する。衛星を利用したビッグデータビジネスとも言える。

例えば、農業では土壌の状況や、作物の生育状況をタイムリーに把握することで収穫高をより正確に計算できるようになる。アメリカのように広大な農地が点在する国では特に効果的だ。環境保護や防災にも役立つ。

土砂災害の状況を精緻に分析することで、危険地域を一度に特定できるようになる。リスク分析の手法が変われば、さまざまな保険ビジネスにも利用されるだろう。防犯にも応用できる。不法移民の監視だけでなく、違法な森林伐採や密漁の監視も可能になる。衛星から魚群を探るセンサーにも注目が集まっている。

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