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「中国が勝てるチームはもう…」 リッピ政権に漂う“破局前”ムード

1/9(水) 20:20配信

footballista

【アジアカップ2019特集 現地メディアが伝える変革するアジア列強の今 #4】中国代表

文 趙明
翻訳 井川洋一

 2016年10月就任のマルチェロ・リッピ監督と中国代表の2017年までが“ハネムーン”だったとしたら、2018年は“倦怠期”という表現では足りない。2006年のドイツW杯で母国イタリアを優勝に導いた70歳の御大が低調なチームの状態を上向かせることができなければ、両者の“破局”も遠くないだろう。国内のメディアやサポーターは、アジアカップの現実的な目標をベスト8に定めている。参加チーム数が増えた今回は、最低でもグループステージを突破すべきだ。

 ただし、「故郷を懐かしんでいる」ことを公然と明かす指揮官に、それほどのモチベーションがあるかどうか……。アジアで初のメジャートーナメントを前にして、指揮官初となるアジアの代表タイトル獲得を狙っていると信じたいが、大会後には中国協会との契約が更新されないことが有力視されている。

 2018年最初の試合では「チャイナカップ」としてウェールズとチェコをホームに迎えたものの、それぞれ0-6、1-4で大敗。以降は今大会を見据えてアジア勢との対戦を重ねた。ミャンマー(1-0)やタイ(0-2)には勝ったが、秋にインド(0-0)、パレスチナ(1-1)と引き分けたことで、リッピに対するファンの評価は分断。「中国が勝てるほど弱いチームはもう残されていない」といった声が国内のインターネット上を賑わせている。

 チームの問題は攻守に山積みだ。過去10年以上にわたって若年層の強化に失敗し、その代償が代表のクオリティ不足として顕著に表れている。また近年、中国リーグに外国籍のスターストライカーが大勢参戦しており、1部と2部の得点ランキング上位に名を連ねる中国人選手は少ない。カタール(1-0)やバーレーン(0-0)はおろか、インド相手にも無得点に終わった前線の奮起がなければ、アジアの強豪との対戦では苦戦が必至だ。

11年ぶり“国産”得点王と38歳の鉄人が柱に

 そんな中、2018年の中国スーパーリーグ(1部)でダントツの得点王に輝いたウー・レイに大きな期待が懸かる。同リーグ史上最年少の14歳でデビューを果たし、上海上港一筋のキャリアを貫く27歳のアタッカーはここ5年ほどで着実に決定力を高め、昨シーズンは2位オディオン・イガロに6点差をつける27ゴール(その後にはジエゴ・タルデッリ、グラツィアーノ・ペッレ、タリスカ、アレシャンドレ・パトらの名も並ぶ)。中国人選手内の得点王には何度もなってきたが、ついに初のリーグ得点王となり、中国サッカー協会から年間最優秀選手にも選出された。昨年は代表でもたびたびネットを揺らしたエースの活躍が、眠れる獅子の浮沈のカギを握っている。

 中盤では、三桁のキャップ数を誇る鉄人チャン・チー(広州恒大)がまだまだ健在だ。かつてチャールトンやセルティックにも所属した38歳のセントラルMFは、キャプテンと背番号10を託される。ロシアW杯予選の最終節で退場処分となったためアジアカップの開幕戦は欠場したが、彼の豊富な経験が必要になる時は必ずくるだろう。ここ2年ほどで頭角を現し、直前のシーズンでキャリアハイの数字を残したサイドアタッカー、ジン・ジンダオ(山東魯能)のパフォーマンスにも注目したい。

 さらに、強豪国との対戦では劣勢が予想されるため、ここ2シーズン連続でスーパーリーグ最優秀GKとなったヤン・ジュンリン(上海上港)の働きも重要となる。前回大会でワン・ダーレイ(山東魯能泰山)が見せた英雄的な活躍の再現が期待されている。

 このチームをリッピ監督がいかにまとめ上げられるか。楽観的なサポーターたちは、ロシアW杯予選の終盤戦に見たような勢いが生まれることを願っているが、これまでの道のりを振り返ると大きな期待はできない。システムは[4-3-3]、[4-2-3-1]、[3-4-3]を試してきたものの、どれも成熟度が低く、メインの形が定まっていない印象だ。何よりも失点を嫌うイタリア人指揮官はおそらく4バックで守備を固め、前線のウー・レイとガオ・リン(広州恒大)のスピードを生かすべく、手数の少ない攻撃を仕掛けていくはずだ。

 数少ないポジティブな要素としては、選手たち全員が国内リーグでプレーしていること。11月中旬にリーグ戦を終えた後、12月初めから中旬まで国内南部の海南島でキャンプを張り、全員でリカバリーと調整に努めた。その後、カタールでイラク(1-2)とヨルダン(1-1)と強化試合を積み、12月下旬に決戦の地UAEに乗り込んでいる点はアドバンテージとなるだろう。

AFCアジアカップUAE2019 テレビ放送予定
地上波放送:テレビ朝日系列にて生中継!
BS放送:NHK BS1にて生中継!

最終更新:1/9(水) 20:20
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