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「辺野古埋め立て土砂に赤土使用で、環境に悪影響」との批判に、現実を隠し言い逃れる菅官房長官

1/10(木) 8:31配信

HARBOR BUSINESS Online

 昨年末の12月26日、野党国会議員が米軍基地建設の進められている沖縄県・名護市辺野古を訪れ、周辺海域をグラスボートで現地視察した。そのころ官邸では、会見を行う菅義偉官房長官と『東京新聞』社会部の望月衣塑子記者との“バトル”が始まり、埋め立て用土砂の違法性問題が取り上げられていた。

⇒【画像】現地を視察し、埋め立て土砂に赤土が混じっていることを確認した伊波議員(中央)

◆記者が指摘「埋め立てが適法に行われているか、確認をしていないのでは」

望月記者:沖縄辺野古についてお聞きします。民間業者の仕様書には「沖縄産の黒石岩ズリ」とあるのに、埋め立ての現場では赤土が広がっております。琉球セメントは県の調査を拒否していまして、沖縄防衛局は「実態把握ができていない」としております。埋め立てが適法に進んでいるのか確認ができておりません。これ、政府としてどう対処するおつもりなのでしょうか。

菅官房長官:法的に基づいてしっかりやっております。

望月記者:「適法がどうかの確認をしていない」ということを聞いているのです。粘土分を含む赤土の可能性が指摘されているにもかかわらず、発注者の国が事実確認をしないのは行政の不作為に当たるのではないでしょうか。

菅官房長官:そんなことはありません。

望月記者:それであれば、政府として防衛局にしっかりと確認をさせ、仮に赤土の割合が高いのなら改めさせる必要があるのではないでしょうか。

菅官房長官:今答えた通りです。

◆菅官房長官は「赤土」「岩ズリ」の違いを理解していない!?

 9月の沖縄県知事選でも菅官房長官は権限もないのに携帯料金値下げが実現するかのように印象づける演説を堂々と行ったが(参照:「沖縄知事選挙の演説で、菅義偉官房長官に『公職選挙法違反』疑惑が浮上!? 携帯料金4割値下げの権限は国にも県にもない!」)、官邸での会見でも一目で事実誤認と分かる発言をしたのだ。

 野党議員の辺野古現場視察を紹介した記事(参照:「辺野古土砂投入で危機迫るサンゴ群落。『ローラさんらに見に来てほしい』とグラスボート船長が訴え」)にある通り、運搬船上の埋め立て用土砂は赤みを帯びており、細かい粘土質の「赤土」を含んでいるのは現場を見れば一目瞭然。すぐにバレる嘘を、菅官房長官は平然とついたことになる。

 なお「赤土」か「岩ズリ」では、海の環境に与えるインパクトが全く違う。上記の記事で伊波氏が説明した通り、「台風襲来による埋立護岸損傷で、粒子が微細な粘土質の赤土が流出した場合、長時間漂って周辺海域に深刻な悪影響を与える。一方、粒子が大目の岩ズリはすぐに沈んでしまう」という。沖縄県には赤土等流出防止条例があり、辺野古埋め立て用の土砂が「岩ズリ」に限定されている環境上の意味を、菅官房長官は全く理解していないといえるのだ。

◆菅官房長官「記者の質問の方が事実誤認」と反転攻勢に

 望月記者は2日後の12月28日にも同じ主旨の再質問をしたが、菅官房長官の答弁には変わりはなかった。

望月記者:辺野古の埋め立て土砂についてお聞きいたします。沖縄防衛局が業者に事前に提出させていた検査報告書には粘土分が全く含まれておらず、「現在投入されている赤土と見られる土砂と明らかに異なる」と県が指摘をしております。

 岩ズリの購入時期と報告書の時期も違っており、県が強く立入検査を求めています。(菅官房)長官は一昨日(12月26日)も「適切に処理」と強調されていますので、琉球セメントは県の検査をしっかりと受けるべきではないでしょうか。

菅官房長官:今日も一緒です。

 そして菅官房長官は「望月記者の質問の方が事実誤認」とする書面を首相官邸報道室から内閣記者会に出すという反転攻勢に出た。

「(望月)記者は質問で、埋め立て工事用の土砂が仕様書に適合しているかについて『発注者の国が事実確認をしない』などと主張した。官邸報道室は『仕様書どおりの材料であることを確認しており、明らかに事実に反する』と反論。記者会見がインターネットで配信されていることを踏まえ『視聴者に誤った事実認識を拡散させることになりかねない。正確な事実を踏まえた質問を改めてお願いする』とした」(12月28日付『産経新聞』)

 これに対して、先の現場視察記事で埋め立て用土砂についてのコメントを紹介した伊波洋一参院議員は同日のツイッタ―でこう反論した。

「官邸報道室は、26日の東京新聞記者の質問に事実誤認があったとして再発防止を求めたが、事実誤認は政府の方で記者の指摘が正しい。沖縄県が知事名と土木建築部長名で同趣旨の文書を沖縄防衛局に発出して防衛局として確認し、県の立入調査を認めるよう求めている」

◆赤土でもパスしてしまう、甘すぎる検査方法

 なぜ両者の言い分が食い違うのか。「仕様書どおりの材料であることを確認」したのに、どうして赤土が投入されているのか。これについて伊波氏は視察最後の謝花喜一郎副知事との面談で「赤土でもパスする検査方法になっている」と指摘、次のような説明をしていた。

「『岩ズリのみである』という過去の調査資料を根拠にして『現在の埋め立て用土砂も同じ』という前提で検査している。しかも微細粒子の割合を10%以下に抑えないといけないのに、赤土と同程度でも通る水準になっている。それで赤土でもすり抜けてしまうのです」

 謝花沖縄県副知事との面談後の囲み取材で、「沖縄等米軍基地問題議員懇談会」の近藤昭一会長(衆院議員・立憲民主党)は「赤土投入については古い(調査)データを持って来て『これで大丈夫だ』と言っているが、違法な行為をしているのは政府だと思っている」と強調した。

 これほど甘い検査であるにもかかわらず、菅官房長官は「仕様書どおりの材料であることを確認(適合)」と強弁、一目で赤土と分かる土砂が投入されている現実から目を背けているのだ。台風襲来で護岸が損傷して赤土が大浦湾側に流出、貴重なサンゴ群落が死滅するリスクを安倍政権は無視しているともいえる。

<取材・文・撮影/横田一>

ジャーナリスト。小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)に編集協力。その他『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数

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最終更新:1/10(木) 8:31
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