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巨人が内海と長野を放出、加速する「裸の王様」ジャイアンツ離れ

1/10(木) 6:01配信

ダイヤモンド・オンライン

 内海哲也投手に続き、長野久義選手の移籍が決まった。いずれもFAで獲得した西武・炭谷銀次郎捕手、広島・丸佳浩選手の「人的補償」で相手球団から指名されての流失。それは、巨人が提出した「プロテクト」28人のリストから、球団にとって「大切な存在」であるはずのふたりが外れていたことを意味する。

 「炭谷が欲しい」「丸が欲しい」ために、「生え抜きのふたり」を差し出したと同じ意味だ。

 ファンが球団を愛する気持ちには、勝ってほしい期待と同時に、「このチームが好きだ」という、理屈では表せない愛着やそれぞれの熱い願いがある。今回の巨人の選択は、「想い」より「勝利」を優先する姿勢の表れと言っていい。

 野球チームである以上、勝つために最善の努力をするのは当然だ。だが「プロ野球」には勝利以上に大切な魂がある。「負けてもこのチームが好きだ」と感じさせる強い絆、無償の愛で結ばれてこそ、チームは本拠地に根ざし、永続する。巨人は、勝利を超える大切な絆を軽視しすぎていないだろうか。この判断が無言で発した「メッセージ」は、巨人が思う以上に深刻な影響を与えるのではないかと感じる。

● 「巨人に入りたい」一心で 他球団を蹴って入団した内海と長野

 今季から三度目の指揮を執る原辰徳監督は、初めて監督に就任した2001年、「ジャイアンツ愛」をキャッチフレーズに掲げた。この言葉は、いまも巨人ファンの共感のよりどころになっている。球団にも各ファンそれぞれにもさまざまな出来事があって、知らずしらず巨人から離れようとする心を繋ぎとめる効果もあっただろう。巨人を好きになったら、「ジャイアンツ愛」という言葉に抗い、巨人ファンの気持ちを捨て去る、断ち切ることは難しいからだ。

 内海、長野をプロテクト・リストに入れなかった巨人の判断は、至極ドライでクールとはいえ、ファンが感じる「ジャイアンツ愛」とは誤差があったに違いない。もちろん、まだ一軍では実績のない期待の若手をプロテクトした、その姿勢は理解もできるし、大いに共感できる。だがせめて、二人を失うくらいなら炭谷か丸かどちらか一人にすべきではなかったか。秘密保持の前提もあるだろうが、移籍する本人やファンに対してもっと誠意あるメッセージがあってもよいのではないか。そんな思いは拭えない。

 書き添えるまでもなく、内海も長野も「巨人に入りたい!」一心で他球団の指名に応じず、3年待って相思相愛を実らせて巨人の選手になった。そして期待どおり、チームの中心となって活躍した。

 内海は敦賀気比高を卒業するとき、巨人以外には行かないと宣言し、他球団は指名を見送るかと思われていた。ところがオリックスが1位で指名。仰木監督(当時)直々の登場に揺れたようだが、結局は初志貫徹、東京ガスに入った。巨人は高校時代の女房役である李捕手をドラフト指名し、先に入団させた。これが内海の気持ちをつなぎとめる要素になったとの裏話もある。

 長野は日大卒業時に「巨人ひとすじ」を公言し、他球団の見送りが予測される中、日本ハムが敢然と指名。しかし、長野は拒んで社会人野球(ホンダ)に進んだ。2年後、今度こその思いは、千葉ロッテの指名でまたも砕かれた。長野と巨人が結ばれるのに3年を要した。それでも長野は巨人だけを進路とする人生設計を貫いた。

 もちろんその時代から「12球団OK」と爽やかに宣言する高校生、大学生選手が各球団の中心となり、その結果もあって各球団が個性を発揮し始めた。とくにパ・リーグ人気が上昇、プロ野球が新しい勢いを持つに至った潮流を考えれば、巨人に執着した2人の考えに異論もあるだろう。とはいえ、その経緯を巨人ファンならずとも知っているだけに衝撃は大きい。力が衰えれば、そんな2人でさえ易々と放り出されるのか……。

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