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僕は頭がいいけれど…東大生が抱く「彼女は頭が悪いから」への違和感

1/11(金) 11:10配信

好書好日

合格が決まって校舎に垂れ幕

 2016年に東大生5人がおこした強制わいせつ事件をモチーフにした小説『彼女は頭が悪いから』(文芸春秋)。この本のブックトークが12月に、東京大学で開かれました。登壇した作者の姫野カオルコさんは「これは東大の方に向けた本ではなく、一般の方に向けた本」「実在する人物に引っ張られずに書くのに苦労した」と話をするなど「創作」であることを強調しました。一方、この日参加した東大の関係者からは「東大生として共感できない」「東大生をひとまとめにしておとしめている」という声もでました。同じように「あんな東大生はいないと思う」と話す東京大学2年の男子学生(21)に話を聞きました。

【「彼女は頭が悪いから」あらすじ】
横浜市郊外のごくふつうの家庭で育ち、女子大に進学した神立美咲。渋谷区広尾の申し分のない環境で育ち、東京大学に進学した竹内つばさ。ふたりは出会い、恋に落ちた。はずだったのに。嫉妬や劣等感、階級意識から、東大生5人による強制わいせつ事件がおきてしまう。事件後、被害者のはずの美咲は「東大生の未来をつぶした“勘違い女”」として世間から攻撃を受ける。

 「東大だから起きた事件」「学歴至上主義がそうさせた」といった論があるみたいですけど、そうした言われ方をされるのは納得がいきません。「学歴」で女性が釣れるなんてことは、僕のまわりでは想定しにくいからです。

 まず、僕の自己紹介をさせてください。東大への進学率が低い県から受験しました。つまり、東大生がレアな県なんです。3000人に1人とも言われています。

 県内の進学校にかよっていましたが、学校で1番の子で頑張って筑波大学。一浪して地元の医学部、というような感じでした。

 僕は地方の教育問題に関心があって、解決するには自分が日本一の教育を受ける必要があるなと思いました。そのために、最高学府の東大にどうしても行きたかった。なので、中学卒業と同時に部活をやめ、高校1年生の時から受験勉強を始めました。とはいえ、母子家庭でお金はないので、塾にも行かず、独学です。

 「東大を受験する」なんて言ってるのは、僕くらいだったので校内では結構有名人でした。ただの「東大を目指している人」でしたが、卒業式には「一緒に写真を撮って下さい」と言われることもありました。でも、3点足りず現役は不合格。それからは、1年間猛勉強をして、東大に合格しました。

 合格すると、小学生の時に診てもらっていた耳鼻科の先生や、保育園の園長にもお祝いの言葉をかけてもらいました。高校にも「東大合格」の垂れ幕がかかったくらいです。

「東大理1の男子という立場を得れば、すぐに足元に2枚の女子カードがならぶ。それらのカードから、初めの練習に適したカードをひけばよい。(「彼女は頭が悪いから」61ページ)」

 入学したら女性にモテる、恋愛できると思っていました。でも全然そんなことないんです。かといって、自分がから声をかける勇気もコミュ力もない。

 最初は他大の女の子と付き合いたいと思っていました。「彼女は頭が悪いから」じゃないですけど、自分の得意な分野では負けたくないじゃないですか。僕にとって、それが「学力」でした。だから、学力で負けない子を――と思っていたのですが、他大の子に出会う機会もなく、出会ったとしてもなんて話かけていいのかわからない。恋ってなんだろうと思って辞書で調べたりもしました。実際、私生活で女性と親密になるときに「学力」によって自分の存在が変わらないことを知ったのはしばらく経ってからでしたね。

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最終更新:1/11(金) 12:41
好書好日

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