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地球温暖化で鳥類「血の抗争」が始まった──敵を殺し脳を食べる行動も

1/11(金) 17:31配信

ニューズウィーク日本版

渡り鳥が温暖化に適応できず、留鳥との間で不幸な争いが起きている

地球温暖化の影響で留鳥のシジュウカラと渡り鳥のマダラヒタキが鉢合わせる機会が増え、両者の「抗争」が激化している。研究者らは過去10年分の繁殖データを分析した結果、シジュウカラの巣で殺されるマダラヒタキの個体数が増加したことを発見した。シジュウカラはマダラヒタキの頭を突いてとどめを刺した後、その脳を食べた形跡があった。

渡り鳥をナビゲートする「体内コンパス」の正体が明らかに

シジュウカラは1年中ほぼ同じ地域にとどまる鳥で、ヨーロッパ全域に生息する。繁殖期は短く、通常は3~4月頃に産卵が始まる。一方のマダラヒタキは渡り鳥で、西アフリカで越冬後、オランダに渡って春の繁殖期を過ごす。

繁殖期が重なれば、餌や巣穴の奪い合いになる。小柄で動きの速いマダラヒタキはシジュウカラの巣を奪い取ろうとする。マダラヒタキは、巣作りに励むシジュウカラの周りを飛び回って追い払うことはできる。だが巣に入ろうとすれば、体が大きく強いシジュウカラに殺され、脳を食べられてしまう。

■脳を食べれば一石二鳥?

脳を食べる行動を発見したのは、英エディンバラ大学のジェルマー・サンプロニアスだ。2007年のことだ。「われわれが設置した巣箱を開けるとマダラヒタキが死んでいた。持ち帰って解剖・検査したら、後頭部の骨が砕かれ、脳が食べられていた」と、彼は本誌に語った。

「過去に他の研究者も同様の行動を報告している。シジュウカラは時々小さめのコウモリを食べたり、冬に自分より小柄な鳥を食べたりすることが知られている。シジュウカラが脳を食べるのは、それが敵を殺す一番簡単な方法で、栄養補給にもなるからかもしれない」

カレント・バイオロジー誌に発表した論文で、サンプロニアスと同僚の研究者らは、シジュウカラとマダラヒタキの繁殖地で集めた10年分に相当するデータを分析した結果、一定の条件下でマダラヒタキの大量死が起きていたことを突き止めた。シジュウカラがマダラヒタキの雄の9%を殺した年も何度かあった。

「殺されたマダラヒタキの個体数には、年によって大きなばらつきが見られる」とサンプロニアスは言う。「直線的に増えているのではなく、(暖冬の後で)シジュウカラの生息密度が増えた地域や年に限って、殺されるマダラヒタキの数が増えていた。マダラヒタキの渡りの時期がシジュウカラの繁殖期と重なった年(通常は気温の低い春)は、さらに被害がひどかった」

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