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羽生永世七冠誕生の舞台となった「指宿白水館」はなぜ棋士から愛されるのか

1/11(金) 7:00配信

文春オンライン

佐々木勇気七段が4回も埋まった「砂蒸し風呂」

 その理由の一つが、指宿温泉名物の「砂蒸し風呂」だろう。大量の砂に埋まって、その熱さと重さを楽しむのは指宿でないとできない体験だ。特に棋士はインドア派が多いので、大量の発汗と共にさっぱりする機会は貴重なのではと思う。2018年の七番勝負で新聞解説を担当した佐々木勇気七段は、滞在中に4回も砂に埋まっていた。

 砂蒸し風呂は、普段汗をかかない場所からも汗が流れることで、デトックスとダイエットに大きな効果をもつ。毎年1月に行われる「いぶすき菜の花マラソン」の参加者が、完走後に砂蒸し風呂を訪れることで、筋肉痛が軽減されるそうだ。白水館における砂蒸し風呂は、屋内にあることで天候に影響されないというのも、人気の理由だという。

 筆者は2017年の対局で観戦記者として訪れ、砂に埋まる体験をした。想像よりは熱くなく、これなら十分な時間を入っていられると思った。「想像より」というのは、将棋漫画『3月のライオン』で、同所をモデルにした対局会場の描写があったからである。その回は竜王戦の対局が行われる以前に発表されたものだが、あまりにピッタリだったので、関係者一同が驚いていた。

 2017年の対局は永世七冠誕生の舞台となった。それを記念して石碑が建てられ、記念撮影を行う宿泊客が増えたという。また、「永世七冠が誕生した対局室をみたい」という声も多いそうだ。こちらは、その日に部屋が空いていれば案内してもらえる。

2日制タイトル戦は3泊4日のスケジュール

 ちなみに、2日制タイトル戦における行程の流れを紹介すると、まず対局前日に現地へ向かうことになる。夕方に対局場へ到着し、使用する盤駒の検分を行うのが一般的だ。

 検分において「この盤駒では指したくありません」などとクレームがついたという話は、最近では寡聞にして聞かないが、「虎斑」という種類の駒は模様が独特で、そこから長時間の対局では目がチラチラするのを嫌う棋士も多い。そのためか、虎斑駒がタイトル戦で使用される例は少なくなっている。盤駒検分の他には、対局室の明るさや温度も確認する。

 検分のあとは、前夜祭がある場合はファンを交えての歓談となるし、ない場合は関係者の身による食事会で翌日からの対局に備える。

 対局1日目は、朝の9時から昼食休憩を1時間挟んで、午後6時に封じ手となることが一般的だ。2日目は封じ手開封から、昼食休憩(持ち時間9時間の名人戦のみ夕食休憩もある)を経て、終局に至る。

 終局後の打ち上げは、対局者にとってわずかな憩いのひと時となろう。対局翌日は対局場で記念撮影などを行った後に、帰途に就くことになる。3泊4日のスケジュールだ。

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最終更新:1/11(金) 9:42
文春オンライン

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