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アメリカで先行する社会の分断が「1周遅れ」でいずれ日本にやってくる2019年はそれが明らかになる年[橘玲の日々刻々]

1/11(金) 21:00配信

ダイヤモンド・ザイ

 毎年、備忘録を兼ねて「今年はどんな年になるのだろうか? 」を書いている。当たるも八卦、当たらぬも八卦だが、昨年の予想を読み返してみると、株価が若干下落したものの、幸いなことに大きく外れたものはないようだ。

 [参考記事]
●2018年はどんな年になるのだろうか?  欧米、中国、日本の政治、経済からひも解く

 しかしこれは、私に予知能力があるとか、世界の動向を読み解く特別な才能があるということではない。種明かしをすると、もっとも当たる確率の高い予想を書いたにすぎない。

 経済予測を統計的に評価すると、専門家の予想はサルがダーツ投げをしたのと同じ程度の精度しかない。専門家の役割は未来を正しく予測することではなく、自信たっぷりにもっともらしいことをいうことだ。

 不確実な世界のなかで、多くのひとが漠然とした不安を感じている。そんなひとびとは、正しいかどうかにかかわらず、すっきりとした因果論で不愉快な世界を説明してほしいと望んでいる。「日銀がお金を刷ればインフレになって日本経済は復活する」とか、「イギリスがEUから離脱すればすべての問題は解決する」とか、「メキシコとの国境に壁をつくれば不法移民は来なくなる」とか、すべてこの類の話で、重要なのは「なるほど、そうなのか! 」という納得感であり、予想が当たったか外れたかは(たいてい)どうでもいいのだ。

 そんな専門家の予測のなかでも、きわだって精度が高いものがある。それは「去年と同じ」だ。経済には粘性があり、極端なことはめったに起こらない。

 年明け早々、為替と株価が乱高下したのは米中の「経済戦争」が懸念されたからだろうが、トランプも習近平も景気の失速は避けたいだろうから、両国関係が止めどもなく悪化するようなことはなく、いずれどこかに落としどころを見つけるのではないだろうか。イギリスのEUからの離脱交渉がいよいよ正念場を迎えたが、仮に最悪の「合意なき離脱」になったとしても、すでに金融市場はそれを織り込んでいるから大混乱に陥ることはないだろう。AI(人工知能)をはじめとするテクノロジーの爆発的(指数関数的)な性能の向上が私たちの生活を大きく変えていくことは間違いないが、その変化が誰に目にも明らかになるのはもうしばらくかかるだろう。

 ということで、「平成最後」の1年の予想も、「よくもなければ悪くもなく、去年とたいして変わらない」ということにしたい。

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