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元中国大使が大胆予測!米中貿易戦争の行方

1/11(金) 8:00配信

東洋経済オンライン

2019年の世界経済を左右する最大のリスクとして、深刻化する米中貿易戦争の行方からは目がはなせない。トランプ大統領の強気の政策はどこまで続くのか?  習近平国家主席はどう動くのか?  日本経済にとっても重要なこの大問題について、『習近平の大問題』を上梓した元中国大使、元伊藤忠商事社長の丹羽宇一郎氏に語ってもらった。

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■再び吹きはじめた反中・嫌中の風

 2018年12月に中国の通信機器メーカー、ファーウェイの孟晩舟(モン・ワンジョウ)CFOがアメリカの要請に応じてカナダで逮捕された。

 日本では逮捕の報道と相前後して、ファーウェイ製の通信機器を排除するという動きが始まった。政府の中枢機関が安全保障上の理由で、通信機器を選択するのは当然ともいえるが、ファーウェイ排除の動きに連動して、収まりを見せていた「反中・嫌中」の風まで吹いてきたようだ。

 メディアはまるでファーウェイ製の通信機器だけが、スパイ機器であるかのように報道している。だが、インターネットによって世界中がつながっている現代で外国の通信機器、あるいはソフトウェアを使うということはつねに一定の情報漏えいリスクがあるものだ。

 サイバー戦の実力で世界第3位といわれる中国の機器にそのリスクがあるなら、第1位であるアメリカの機器にも当然情報を盗られるリスクがある。中国製だけを排除すれば安心などということはない。国家の重要情報は、アメリカにも盗られてはならないのだ。

 この先、トランプ政権との貿易交渉が控えているのに、日本の情報がアメリカに筒抜けでは手も足も出ないことになる。

 日本では、この点を指摘するメディアは見られない。反中・嫌中の風にあおられて、ほかにも重大な問題のあることを指摘せずにいたのでは、メディアとして無責任であるといわざるをえない。

 日本社会を覆っていた「反中・嫌中」の空気の製造物責任は、間違いなくメディアにその一端がある。そして反中・嫌中の空気の背景には、中国および世界を自分から知ろうとしない日本人の内向きな姿勢が見える。

■反中・嫌中は現場と現実から目を背ける危険な行為

2018年12月に出版した私の新著『習近平の大問題』でこう書いた。

空気が形成されるときは、いつの時代でも特にだれかが意図して空気を創造するのではなく、相乗効果がエスカレートした結果であることが多い。戦前の対米戦に至ったケースも、今日のネットと報道の相乗効果に似たプロセスがあった。

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