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インフルエンザの新薬ゾフルーザは“早く楽になる”

1/11(金) 14:31配信

日経グッデイ

 この冬、インフルエンザの治療薬に「ゾフルーザ(一般名バロキサビル)」という新薬が登場した。この薬の特徴は、これまでのインフルエンザ治療薬とは作用機序(メカニズム)がまったく異なり、ウイルスの消失が速いこと。この新薬の話題を中心に、この冬のインフルエンザの治療や予防のポイントを、インフルエンザ診療に詳しい医師の廣津伸夫氏に取材した。

【表1 インフルエンザ治療薬の服用方法、回数、費用などの比較】

◇ ◇ ◇

 インフルエンザが流行している。厚生労働省による最新の発表では、2019年1月6日までの1週間に全国の医療機関を受診した推計患者数は約58.6万人となり、前週の推計値(約44.6万人)より約14万人増加した。特に、岐阜県、愛知県、北海道、高知県などで流行が拡大している。

 例年、インフルエンザは12月に流行が始まり、年末年始に一旦収まったのち、1月末から2月にかけて流行のピークを迎える。昨シーズン(2017/18シーズン)は、推計患者数約2210万人(今シーズンから採用された新推計方法に基づくと約1460万人)の大流行となったが、今シーズンも予断を許さない。早めに予防接種を済ませ、マスク、手洗い、人混みを避けるなどの予防策を講じたい。

 この冬のインフルエンザには、2つの新しいトピックスがある。一つは、インフルエンザの治療薬に「ゾフルーザ(一般名バロキサビル)」という新薬が登場したこと。もう一つは、これまで10代の患者への使用が制限されていた「タミフル(一般名オセルタミビル)」の添付文書が改訂され、10代への使用制限が解除されたことだ。タミフルについては、同じ成分で窓口負担の少ないジェネリック医薬品(後発品)も登場した。

 このうち新薬ゾフルーザの話題を中心に、この冬のインフルエンザの治療や予防のポイントを、廣津医院(川崎市高津区)院長の廣津伸夫氏に聞いた。

●ゾフルーザを飲むと、丸一日で半分の人のウイルスがなくなる

 廣津氏は内科と小児科を専門とするベテラン臨床医。日々の診療の傍ら、インフルエンザに関するさまざまな臨床研究に取り組んでおり、「ゾフルーザ」の承認申請のために行われた臨床試験(治験)にも参加している。

 ゾフルーザは、これまでのインフルエンザ治療薬(タミフル、リレンザ〔一般名:ザナミビル〕、イナビル〔一般名:ラニナミビル〕、ラピアクタ〔一般名:ペラミビル〕)とどう違うのだろうか?

 「まず作用機序(メカニズム)が、これまでの薬と全く違います。これまでのインフルエンザ治療薬は、ノイラミニダーゼ阻害薬と呼ばれる種類の薬で、感染した人の細胞の中で増殖したインフルエンザウイルスが、他の細胞に広がるのを抑える作用がありました。一方、ゾフルーザには、ウイルスの増殖そのものを抑える働きがあります」(廣津氏)。

 廣津氏によれば、ゾフルーザの効果は非常に高い。「インフルエンザを発症した後、熱や咳、鼻水、節々の痛み、疲労感などの症状がすべてなくなるまでの時間(罹病期間)についていうと、ゾフルーザはプラセボ(偽薬)より中央値で1日余り早く、タミフルとの比較では同等という結果が出ています(*1)。罹病期間ではタミフルとの差が出ていませんが、ゾフルーザはインフルエンザの主症状である『きつい、つらい』症状に関して、従来の薬よりも『早く楽になった』と話す患者さんが多い印象です」(廣津氏)。

 その理由として廣津氏が挙げるのが、前述した作用機序の違いだ。「ゾフルーザには、インフルエンザウイルスの増殖そのものを抑える作用があるので、ウイルスがなくなるスピードが速いのです。ゾフルーザを投与すると、丸一日で半分の人のウイルスがなくなります。これまでの薬の中で最もウイルスの消失が早いラピアクタでも、3日で80%の人のウイルスがなくなる程度ですから、かなり早いスピードです。患者さんの中には、昼に当院を受診してゾフルーザの処方を受け、翌朝には『楽になりました』と話す人もいます」と廣津氏は語る。

*1 ゾフルーザの医薬品インタビューフォームより

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最終更新:1/11(金) 15:46
日経グッデイ

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