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ポルシェ996型911を普段使いする!──粋な絶版名車のススメ

1/12(土) 8:14配信

GQ JAPAN

絶版名車とは「今もその当時の存在感や魅力があせることなく、現在のクルマにはない“味”をもち続けるクルマ」である。クラシックカー市場が高騰し続けるいま、そんな先取りしたい絶版名車を紹介する。

【写真を見る】2000年代前半のポルシェが熱い理由!

2000年代でも十分に旧車

自他ともに中年と認めるぐらいの年齢になってくると、10年か20年ぐらい前の出来事も「ついこの間のこと」のように思えてしまう。

だが冷静に考えれば、10年前あるいは20年前というのは十分「昔」であろう。

昭和40年代男である筆者からすると、平成前期にデビューした国産車などは「ちょっと前に登場した車」という気がする。だが、若年層のカーマニアに言わせると、そういった国産車は「ちょっと前」どころか「レトロな旧車」なのだそうだ。まぁそうなのだろう。彼らの感覚のほうが、たぶん正しい。

であるならば、「絶版名車」と呼ぶべき車の年次もアップデートさせるべきなのかもしれない。

例えば自動車愛好家からは「996(キューキューロク)」と呼ばれている3世代前のポルシェ911だ。あれも、そろそろ「絶版名車」として扱うべき対象になったのかもしれない──と思うのだ。

ポルシェ911という車はその昔、世の趨勢が水冷方式のエンジンになって以降もかたくなに、空冷方式という古い冷却方式を継続させていた。だが1998年にはさすがに「空冷方式のままでは現代のさまざまな要求を満たせない」ということで伝統の方式を捨て、すべてのエンジンを水冷方式へと刷新した。

その刷新第1世代となったのが、ここで紹介する「タイプ996」という型式名のポルシェ911だ。

デビュー当時は不評だったが……

タイプ996は当初、守旧派的な自動車愛好家からはさほど高く評価されなかった。いや、むしろ低評価ですらあったはずだ。

否定派の主たる言い分はこうだった。「なんだか乗用車っぽい」と。

タイプ996のエンジンは、冷却水とその関連部品によって本体がシール(密閉)されている。そのため、それまでの空冷エンジンのような野性味あふれるエンジン音はコクピットに進入してこない。そして同時にその他さまざまな点も(当時なりの)モダンなニュアンスに改められたため、「フツーの乗用車を運転してるようでつまらん」との烙印をマニアから押されたのだ。

その意見、つまり「タイプ996は(それまでの911と比べれば)普通の乗用車的である」という見解には筆者もおおむね同意はする。古典的なスポーツカー世界を存分に味わいたいのであれば、それ以前の空冷世代を買ったほうがおそらくは満足できるだろう。

だが世の中全般の諸々が変化するにつれて、タイプ996の立ち位置というか印象も変わってきた気がしてならない。

例えば「サイズ感」だ。

往年のポルシェ911は全幅1700mmに満たないナローな車だった。だが空冷世代の最後にその全幅は1700mmを少しだけ超え、タイプ996からは全幅1770mmとなった。これをもってタイプ996は「肥大化した(デブった)」と言われたし、筆者も、当時はそのように思った。

しかし、2019年の今になってみると、タイプ996はもはや「そこそこナローな車」でしかない。

タイプ996の全幅は前述のとおり1770mmだが、日本で売られている最新型911の全幅は1.8m超えの1835mm。そろそろ登場するはずの次期型911にいたっては1852mmだ。さらにホンダのシビックですら最新型の全幅は1800mmであることを知れば、全幅1770mmのタイプ996が「そこそこナローでタイトな車」だということがおわかりいただけるのではないか。

またコンピューター制御の分量についてもそうだ。

1990年代の末にデビューした996は、さすがにそれまでの911のように牧歌的な車ではない。車内ではCANと呼ばれる通信プロトコルを通じてさまざまな電子制御が行われている。

だがその通信の総量は、最新の911と比べれば圧倒的に少ない。

そのため、さすがに往年のクラシックカーのような「完全手動制御の愉しみ」は味わえないまでも、ほぼ完全なコンピューター仕掛けとなった現代の車と比べるなら十分以上の手動っぽさ、すなわち「この機械を操縦しているのは自分だ!」との感慨は得ることができるのだ。

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最終更新:1/12(土) 8:14
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