ここから本文です

空飛ぶタクシーが本当に現実に?

1/12(土) 12:10配信

WIRED.jp

自動運転と電動化は先送り

Nexusはそんな未来の交通システムに向けて、ベルが出した答えだ。がっしりとした機体は乗客4人とパイロット1人の計5人乗りだが、操縦は将来的には自動化していくという。

テクノロジー&イノヴェイション担当副社長のマイケル・サッカーは、「これほど速く静かに大量の人を運べ、かつ環境に優しいものは地上での移動手段にはありません」と話す。「世界は2次元ではなく3次元なのです。既存の交通システムでは対応しきれないニーズをさばく上で、小型航空機は大きな役割を果たすでしょう」

多くのスタートアップが上空を行き交う新型の都市交通というアイデアに取り組むが、航空業界で名のある企業でこの分野に参入しているのは、ベルヘリコプターとエアバスだけだ。一方で、グーグル共同創業者のラリー・ペイジが出資するKitty Hawk、インテルやトヨタ自動車から資金を集めたJoby Aviation、Uber、Liliumといった企業が競争相手として名乗りを上げている。

ベルがほかのプレーヤーたちと異なるのは、他社が無視している重要な問題を念頭に置いている点だ。具体的には、ベルは空飛ぶタクシーは実用化の初期段階においては、自動操縦も完全な電動化も現実的な選択肢ではないと考えているのだ。このため、Nexusは人間のパイロットが操縦する仕組みになっている。

航空業界ではパイロット不足が深刻化しているが、Nexusの操作は非常にシンプルで、「簡単なトレーニング」を受ければ飛ばすことができるようになるという。また、動力源は電動モーターではなくタービンエンジンで、自動操縦システムと完全な電動化はテクノロジーが十分に進化するまで待つ方針だ。

操縦桿のないコックピットに?

Nexusの開発においては、4つのフレームワークが設定された。まずは運航上の要件で、飛行距離やどの程度の高度を飛行するかによって必要なスペックが違ってくる。

次に、空飛ぶクルマというまったく新しい乗り物に対して、当局がどのような規制をかけるのかという頭の痛い問題がある。また、新種の乗り物という意味では、エンジニアリングや技術的に乗り越えなければならない課題も山積みだった。

そして、これらをすべてクリアしたとしても、最後に大きな難関が待ち受けている。この見たこともない乗り物を、安全かつ実用性のある交通手段として社会に受け入れてもらわなければならないのだ。

イノヴェイション担当副社長のスコット・ドレナンは、「おもちゃでも、単なる娯楽用途の乗り物でもありません。これだけのサイズがあれば十分に実用的で、実際に未来の移動手段となりうる製品なのです」と説明する。

開発チームには心強い仲間もいる。ハイブリッドの動力システムを手がけるのは、フランスのジェットエンジンメーカーのサフランで、操縦システム関連はやはりフランスの防衛エレクトロニクス大手タレスが担当する。バッテリーを供給するのは、米国のElectric Power Systemsだ。

フライトコントロール周りのハードウエアはMoog、それ以外の電子機器はガーミンからそれぞれ調達する。すべてを合わせれば、従来の航空機よりはるかに簡単に操縦できる乗り物が誕生する予定だ。

また、誰でも使えるインターフェースの操縦系統をつくるために、飛行訓練を受けたことのない“普通”の人々にNexus用のシミュレーターを試してもらい、データを収集している。これまでのような操縦桿とフットペダルのシステムとは、まったく異なったものになる可能性もある。

2/3ページ

最終更新:1/12(土) 12:10
WIRED.jp

記事提供社からのご案内(外部サイト)

『WIRED Vol.32』

コンデナスト・ジャパン

2019年3月14日発売

1,200円(税込み)

『WIRED』日本版VOL.32「DIGITAL WELL-BEING」特集|デジタル時代のウェルビーイングの可能性を問う一冊

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事