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“大迫の代役”問題、アジア杯2戦目にして直面。武藤嘉紀、今こそエースとの差を埋める時

1/12(土) 12:04配信

フットボールチャンネル

日本代表は11日、AFCアジアカップ・グループリーグ第2戦のオマーン戦に向けて調整を行った。初戦でチームを救った大迫勇也が練習を回避。次戦の欠場もあり得る中、武藤嘉紀がチャンスを掴むかもしれない。(取材・文:元川悦子)

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●エースFWが練習に姿を現わさず

 2019年アジアカップ(UAE)の1次リーグ突破のかかる13日のオマーン戦(アビダビ)が目前に迫ってきた。第2戦を2日後に控えた11日、日本代表は夕方から1時間程度の調整を非公開で行ったが、9日の初戦・トルクメニスタン戦(同)で後半に2ゴールを叩き出し、チームを逆転勝利へと導いた絶対的1トップ・大迫勇也(ブレーメン)が姿を現わさなかった。

 代表広報担当者の説明によれば「右でん部に違和感を訴えてホテルで別調整をしている」とのことだが、それは12月26日の国内合宿スタート時から抱えていた負傷と同じ箇所。ケガの再発であれば、オマーン戦出場はもちろんのこと、今大会からの離脱もあり得る。現段階ではどんな状態かハッキリしないし、12日の前日練習にはケロっとした様子で参加しているかもしれないが、最悪の場合はエースFW抜きで今後の戦いに挑まざるを得なくなる。その可能性があることだけは、我々も自覚しておく必要がある。

「もちろん大迫が非常に素晴らしい選手というのはみんな分かっているし、このチームのエースだというのも間違いない。だけど、他の選手とっては大きなチャンスだし、大会が始まる前から言ってますけど、アジアカップは総力戦。2011年に優勝した時もサブの選手がこういうチャンスを生かしたことがカギになった。そこはみんな理解してるし、チャンスをつかまなければいけないと思います」と8年前の優勝を経験しているキャプテン・吉田麻也(サウサンプトン)も語気を強めたが、少なくともオマーン戦は他の攻撃陣が奮起しなければ白星はつかめない。

●1トップの代役一番手は武藤嘉紀?

 森保一監督が4-2-3-1システムを継続する前提なら、1トップの代役一番手は武藤嘉紀(ニューカッスル)が有力だ。指揮官はこれまで小林悠(川崎F)や杉本健勇(浦和)、川又堅碁(磐田)らターゲットタイプのFWを何人か試し、「ポスト大迫」を見出そう努力したが、目論見通りには行かず、スピードタイプの浅野拓磨(ハノーファー)を呼んだ経緯がある。その浅野も負傷離脱し、最終的に武藤で落ち着いたわけだが「結果的には一番いいチョイスだった」となる可能性も少なくないだろう。

 実際、武藤は欧州で大迫に肩を並べるほどの実績がある。昨季まで3シーズンを過ごしたマインツでは1トップで使われ、体を張ってボールを収め、攻めの起点を作る仕事に献身的にこなしていた。2015年夏以降の得点数も1年目が7、2年目が5、3年目が8。たびたびケガで長期離脱を強いられた割にはかなりの数字を残しているのだ。

 にもかかわらず、代表では潜在能力の高さを出し切れなかった。「今までずっとサイドをやってきたから」と本人はヴァイッド・ハリルホジッチ監督の起用法が一因だと考えている様子だが、その間、1トップに固定されていた大迫とは大きな差がついてしまった。

●ロシアでの挫折、イングランドで得た自信

 幸いにして、指揮官が西野朗監督に交代し、2018年ロシアワールドカップにメンバー滑り込み。ポーランド戦(ボルゴグラード)で念願だった先発出場の機会をつかんだものの、肩に力が入りすぎて、全ての判断に微妙な狂いが生じ、肝心な決定機も逃した。「あの時は点を取れるチャンスがあったにもかかわらず、決めきれなかった。自分の力のなさだと思う」と武藤は反省の弁を口にした。大会後しばらくは、大きな失望感と挫折感、悔恨の念にかられる日々を送ったに違いない。

 その後、イングランド・プレミアリーグにステップアップ。日常の環境は大迫より上と言ってもいい状況になった。目下、クラブのポジションはトップ下がメインだが、ゴール寄りの位置という意味では代表の1トップに近い役割を経験できている。マンチェスター・ユナイテッド戦でのゴールを含め、大きな自信も手に入れた。「もう大舞台でも緊張しないメンタルをつかんだ」と言うだけに、それを森保ジャパンに持ち込めれば、オマーン戦は全く問題ないはずだ。

 懸念材料があるとすれば、堂安律(フローニンゲン)や北川航也(清水)ら新戦力との実戦でのプレー経験が皆無なこと。南野拓実(ザルツブルク)とはハリル時代の2015年に何度か顔を合わせてはいるが、やはり連係が確立されたと言える領域には達していない。

 彼らとの関係が希薄な分、原口元気(ハノーファー)や乾貴士(ベティス)らロシア組とは協力体制をより強固にしていく必要がある。11日の練習でも武藤は原口と話をするシーンが繰り返し見られたが、それも「自分たちロシア組が大迫不在の苦境を何とかしなければいけない」という強い自覚の表れだ。

●武藤以外のオプションは?

 オマーンはトルクメニスタン以上に堅守速攻を研ぎ澄ませたチームと目される。それだけに、中央攻撃一辺倒になったら必ずや足元をすくわれる。武藤はボールを収められるところでは収めるべきだが、相手守備陣の網に引っかからないように球離れを早くし、サイドを広く使った攻めを意識するべきだ。

 南野や堂安が突っ込んでくるスペースを作るのも重要なタスク。武藤が森保ジャパンで生き残ろうと考えるなら、こうした仕事を1つ1つキッチリこなしたうえで、ゴールに絡む明確な結果を残すことが強く求められてくる。

 森保監督は武藤以外のオプションも頭に入れているはず。その1つが北川の1トップ起用だ。が、トルクメニスタン戦のパフォーマンスを見る限りでは、大役を任せるのは少し酷かもしれない。となれば、原口と南野を中央で2トップ気味に入れて、左に乾、右に堂安、あるいは伊東純也(柏)を配置するというゼロトップのような形など、異なるオプションを模索した方がいい。

 初戦で冨安をボランチ起用し、柴崎岳(ヘタフェ)との距離が開きすぎて中盤のプレスが甘くなったように、新コンビがいきなり機能するとは限らないが、あらゆる可能性を視野に入れなければ「大迫負傷再発」という絶体絶命の危機は克服できないのだ。

 オマーン戦では、日本を熟知する敵将、ピム・ファーベク監督をも驚かせるようなチームマネージメントを指揮官には見せてほしい。伏兵が次々と活躍して、総力戦でタイトルまで上り詰めた2011年カタール大会の再現を果たすべく、森保監督の際立った采配力と大胆さを今こそ期待したいものだ。

(取材・文:元川悦子)

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