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「世界で最も美しい書店」へ行ってみよう

1/12(土) 11:13配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

ブエノスアイレスの「アテネオ・グランド・スプレンディッド」

 南米アルゼンチン、ブエノスアイレスの高級住宅街レコレータ地区。商店が並ぶ賑やかな通り沿いに、旅行者も訪れることができる静謐な本の殿堂がある。

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 やわらかな照明が、20世紀初頭の名工の技を照らし出す。まるで大きな図書館にいるかのように、人々は小声でささやきあうが、それでも場の雰囲気は温かく、巨大な空間の奥にあるカフェは、本のページをめくりながら、カプチーノやホットチョコレートをすする常連たちでいっぱいだ。

 ここはアテネオ・グランド・スプレンディッド。数々のブログやガイドブックで「世界で最も美しい書店」と評される場所だが、そうした形容詞が付けられるのも無理はない。この広々とした書店は、美しく保存された古い劇場を利用して作られているからだ。タンゴを披露する歌手やダンサーの代わりに、今では印刷された言葉たちがここの主役を務めている。

 この建物は、ブエノスアイレスが主要な港および商業の中心地として栄えた1919年に劇場として誕生した。主に欧州から一気に流れ込んできた移民たちの影響により、タンゴをはじめとする豊かな文化・芸術が花開いた。高い天井に華麗なフレスコ画を掲げた劇場は、古い世界の隆盛とともに、フレンドリーなスタッフ、おいしいコーヒー、のんびりとした空気といった、いかにもラテン的な魅力にあふれている。

 アテネオ・グランド・スプレンディッドがこの建物にオープンしたのは、2000年代初頭のことだ。数千点の本、CD、DVDが並ぶ店には、年間100万人以上が訪れる。旅行者は、オーケストラボックスや中二階に芸術的に設置されたカラフルな書棚を、心ゆくまで眺めることができる。贅沢なボックス席は、見事な内装を眺めながら本を読むのにうってつけだ。カフェがあるのは、実はかつての舞台の上。ペストリーをかじりながら、自分が俳優になったところを想像してみるのもいいだろう。

 アルゼンチンは文学が盛んな国であり、年間何万点という作品が出版される。ブエノスアイレスは、一人あたりの書店数が世界で最も多い都市のひとつで、その数は700軒以上にのぼる。この街にすばらしい書店は数あるが、独自の魅力にあふれるアテネオ・グランド・スプレンディッドは一見の価値がある。

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