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広島が人的補償で長野を指名した「財務状況」

1/12(土) 11:00配信

現代ビジネス

巨人OBは総じて手厳しい

 年明け早々、ビッグニュースが飛び込んできました。FA権を行使して巨人に移籍した丸佳浩選手の人的補償として、広島が長野久義選手を指名したのです。2億1千万円の穴を2億2千万円で埋める――。一見すると大型トレードのようでもあります。

 巨人OBからは一様に手厳しいコメントが飛び出しました。

 まずは西本聖さん。

 <優勝へ向け「よし、行くぞ!」という時にチームの中心となるベテラン選手がたて続けにいなくなるのはどうなのか。選手は「自分だってどうなるか分からない」という不安な気持ちになる。これでチームが1つになれるのか。チームに良い空気は流れないと思う>(日刊スポーツ1月8日付)

 続けて中畑清さん。

 <28人のプロテクト枠から外したということは戦力として認めず「ウチはいらない。どうぞ持っていって」と言ったのと一緒。それなのに球団社長は内海のときの「大変残念」に続いて「断腸の思いです」だって。だったらプロテクトしときなさいよ。悪気はないんだろうが、出される選手の気持ちが全く分かっていない>(スポーツニッポン1月8日付)

 巨人のフロントには、高額年俸のベテランを広島が狙うはずがない、という思い込みがあったのかもしれません。というのも2013年オフに巨人が広島のFA選手・大竹寛投手を獲得した際には、入団2年目の一岡竜司投手が人的補償の対象だったからです。

 また巨人は1999年オフに江藤智さんを広島からFAで獲得していますが、この時は金銭補償でした。

誤算、それとも想定通り?

 広島が高額年俸の長野選手を指名した背景には、球団の財務状況の改善があります。2000年代に入ってからのカープの観客動員数と売上高、純利益(税引前の利益から法人税や住民税、事業税、法人税等調整額などを差し引いた金額)を見てみましょう。

 ストライキ前の03年度の観客動員数は94.6万人、売上高は65億4300万円、純利益は8200万円。それが15年度には観客動員数211万人、売上高148億3256万円、純利益7億6133万円にまで膨れ上がっているのです。

 カープの高収入を支えているのが2009年に建設されたマツダスタジアムです。ヒトが集まればモノも売れます。たとえばグッズ収入。旧市民球場時代は3億円にも充たなかった売上が、2017年には60億円弱に達しているのです。いまでは入場料収入と並ぶ大きな柱です。

 こう見ていくと、もはやカープは、かつての“赤貧球団”ではありません。巨人に獲られこそしたものの、丸選手には4年総額17億円という巨額年俸を提示しています。長野選手の2億2千万円という年俸が指名のネックとなることもありませんでした。

 金銭補償から人的補償へ。それも高額選手をターゲットに。巨人フロントにとって、広島の長野指名は誤算だったのではないでしょうか。逆に想定通りなら、生え抜きのベテランを“切る”ことで世代交代に拍車をかけたかったのかもしれません。

二宮 清純

最終更新:1/12(土) 11:00
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