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中学野球部の露骨なボーク誘導。審判は「アンフェア」をどう裁くか。

1/12(土) 8:01配信

Number Web

 以前、ライターの先輩から、こんなことを教わったことがある。

 記事はどんなテーマで書いても構わないが、「審判」については触らないようにしている。それが業界の暗黙の“申し合わせ”である、と。

 なるほどね……と思ったのを覚えている。たしかに、すでに終わったジャッジについて蒸し返してもしかたない。

 そう思って、ずっとそうしてきたのだが、ここで初めて「審判」について触れることにした。

 審判がテーマとなると「クレーム系」かと思われがちだが、決してそうではない。「前向き」な話だと思っている。

 ある集まりで、こんな話を耳にした。

 中学生の軟式野球。つまり部活の中学野球だが、ある大きな大会での出来事だ。

 中学軟式にも今は全国有数の「強豪」というのがあって、その強豪同士の一戦だから、試合終盤まで緊迫した“ゼロゼロ”の展開だったそうだ。

 一方のチームの選手たちが、打席でしゃがむように構え始めた。誰がどう見たって「四球狙い」だ。球審も、打者が構えている高さでストライク、ボールをジャッジしたから、あっという間に満塁になった。

ボークを誘導するアンフェアさに対して。

 さあ、どうする。

 すると、次のバッターの初球で、三塁ランナーがスルスルッとホームに向かってスタートをきった途端、ベンチにいた選手たちが、「ボーク! ボーク!」と、叫びながらベンチを飛び出してきたという。

 モーションを起こしていた投手は、その「叫び」に驚いて、踏み込んだあたりで上体の動きを一瞬止めた。

 投球モーションを途中で止めたら、普通は「ボーク」である。しかし球審はボークを宣告せず、プレーを続けさせた。

 攻撃側からあがった抗議の声に対して、

 「明らかにボークを誘導するようなアンフェアな行為。ボークはとりません!」

 毅然とした態度で、抗議を退けたという。

 なにか、すごくホッとした。道理ではそうなって当然なのだが、最近の野球の現場ではそうならないことがよくあるので、実は話を聞きながら“結論”のゆくえを心配していたのだ。

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最終更新:1/12(土) 8:01
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