ここから本文です

大都市の知らない顔が見えてくる【東京の古き良きモダン建築を探訪】[FRaU]

1/13(日) 10:40配信

講談社 JOSEISHI.NET

高層ビルの間に静かに佇むプチホテル。深い緑に守られた古き良き文化サロン。小説家の山内マリコさんが目指したのは、東京に残る、大正や昭和のモダン建築。

そこには、歳月の分だけ物語があり、建物を愛した人たちの思いが刻まれていました。積み重ねられた歴史に触れたとき、大都市の知らない顔が見えてきます。

国境を超えて人が交わる場 六本木に根付く文化サロン

東京の街は、新しいものと古いものが複雑に折り重なってできている。その歴史を同じ場所に建って受け止めてきた建築には、タイムマシンのように、かつての東京に迷い込ませる力があるのかもしれない。

「私、古い洋館を訪ねて、住人ごっこをするのが好きなんです」と恥ずかしそうに笑う山内マリコさん。

「 “まぁ素敵。ここがお母様のお部屋なのね” なんて妄想しながら、そこにあった生活を想像すると、建築の見え方も変わる気がします」

確かに、自分の身を置けるという点で、建築には時空を飛び越えるような高揚感があるのかもしれない。富山生まれの山内さんは、大学時代とその後数年を関西で過ごし、25歳で上京した。小説家を目指し、家に籠もって机に向かう日々。本人曰く「泥水をすするような下積み時代(笑)」に出口が見え始めた頃、古い建築を見に行くのが趣味になった。

建築目当てに初めての街を訪ねたこともあったが、東京にはまだまだ知らない場所があると山内さん。六本木にある国際文化会館のエントランスを目にした時も、「こんなところに!?」と驚きの声をあげた。ここは1955年に完成した、民間による文化交流の場。設計者には前川國男、坂倉準三、吉村順三と、モダニズム建築の巨匠の名が連なる。

「ようこそ、国際文化会館へ」。そう出迎えてくれたのは案内役の芦葉宗近さん。この建物の生き字引きのような人で「ここにはかつて、三菱財閥の4代目、岩崎小彌太の邸宅があったんです」と、昭和初期の風景が見えているかのように話し始めた。

写真:六本木にある国際文化会館は、前川國男、吉村順三、坂倉準三という日本を代表する巨匠建築家が揃い踏みした名作。見事な日本庭園は、京都の名作庭家、七代目小川治兵衛によって造園されたもの。

1/3ページ

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事