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アジアカップで証明された実力格差の縮小。日本代表が勝ち続けるために必要なこと

1/13(日) 13:07配信

フットボールチャンネル

 日本代表は13日、アジアカップのグループリーグ第2戦で2連勝をかけてオマーン代表と対戦する。格下の相手と見られたトルクメニスタン代表に苦戦するなど、不安が叫ばれる中で迎える一戦。全体を見渡しても番狂わせが多くあるなど波乱含みの大会で、勝ち続けるために必要なこととは。(取材・文:舩木渉【UAE】)

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●「我々は日本のすべてを知っている」

 日本代表の森保一監督は、12日に行われた記者会見で「準備」という言葉を繰り返し口にした。

 例えば「まずは一戦一戦、試合に向けてチームとして最善の『準備』をしていくこと、基本的なことはこれまでと変わらないので、第1戦が終わってからオマーン戦までの間、我々がやれる最善の『準備』をできたと思っていいます」といったような感じである。

 この「準備」の面でアジアのレベルが上がっていることを、今大会を見てきてひしひしと感じる。グループリーグ初戦で日本代表と対戦したトルクメニスタン代表を見てもわかる通り、相手をしっかりと分析して見つけ出した対策をピッチ上のプレーに落とし込んで、プランを確実に遂行できるチームが増えている。

 日本代表は13日にオマーン代表と激突するが、オランダ人のピム・ファーベーク監督率いるチームも「準備」に余念はない。11日の日本の練習に“スパイ”を派遣した疑惑が浮上するほど。かつてJリーグでも指導した経験を持つ熟練監督は「我々は日本をリスペクトするが、恐れるものは何もない」と打倒・日本に燃えていた。

 オマーンはトルクメニスタンよりも戦力値では上。さらに組織としても中東のステレオタイプなイメージのサッカーではなく、しっかりとパスをつなぎ、サイドのスピードなどを生かした攻撃的なスタイルを身上とする。

 2018年のオマーン代表は、今大会直前にオーストラリア代表と練習試合をして0-5の大敗を喫するまで無敗のチームだった。ファーベーク監督は、教え子たちがこの2年間で勝利を積み重ねるに連れて自信を深めてきたことも強調している。

 おそらく日本にも果敢に挑んでくるだろう。オマーン代表はウズベキスタン代表に1-2で敗れてグループリーグ初戦を落としており、決勝トーナメント進出のために是が非でも勝ち点を持って帰りたいはず。もし日本を破る、あるいは苦しめることができれれば、今後に向けた大きな自信にもつながる。

「我々は日本のすべてを知っているんだ。今は2019年。我々はすべての情報を持っている」

 そう豪語するファーベーク監督は、徹底的に練り上げた日本対策プランをチームに託したに違いない。2連勝でグループリーグ突破を決めたい日本にとって、前節以上の厳しい戦いが予想される。

●オマーンの弱点を突くには?

 森保監督も、トルクメニスタン戦に苦戦したことで一層警戒心を強めている。

「試合前のゲームプランと実際の試合内容が我々の思い通りになればそれに越したことはないですけど、そう簡単なことはない。しっかり気を引き締めて試合に臨まなければいけないと思いますし、我慢強く厳しい試合を覚悟して準備したいと思います」

 今大会、日本代表のみならずUAE代表や中国代表、イラン代表なども負傷者を抱えながらの戦いで、コンディション調整の面で苦戦を強いられている。森保ジャパンはトルクメニスタン戦に先発フル出場させたFW大迫勇也の右でん部痛が再発してしまい、オマーン戦の出場が困難に。GK東口順昭も腰に痛みを訴えるなど、ここにきて「準備」の段階で再びアクシデントが続出している。

 すでにチームを離脱した中島翔哉や守田英正、招集を辞退した浅野拓磨なども含めると、負傷者の数はかなり多い。アジアカップは決勝まで最大7試合を約1ヶ月の短期間でこなす非常に厳しい大会だが、2試合目にして総力戦だ。

 おそらく大迫の代わりに出場するであろう北川航也や武藤嘉紀に対し、森保監督は「得点を奪うこと、得点に絡むこと、攻撃の選手としての役割を出してもらいたい」と期待すると同時に、攻守全体にわたる貢献も求めていた。

 やはり相手を押し込める時間が長くなると想定できるだけに、ボールを失っても前線からの守備ですぐに奪い返し、波状攻撃でゴールを狙いたい。そこで鍵になるのが北川や武藤が任されると思われるストライカーのポジションからの連動したプレッシングになる。

 そしてオマーンの弱点の1つが、大きなサイドチェンジへの対処だ。まさに日本代表がトルクメニスタン戦の後半に3得点を奪ったような、シンプルなサイドチェンジで選手間を広げられたり、動かされることを嫌う。

 昨年末のオーストラリア戦では相手の最終ラインや中盤の選手からサイドへの大きな展開のパスが出た後、そこでの1対1の攻防で後手を踏んでいくつも決定機を作られた。実際にゴールも生まれた。守備時の連動性に問題を抱え、クロスに対してボールウォッチャーになってしまう弱点を積極的に突いていきたい。

●大陸全体の成長は明らか。気の抜けない戦いに

 もし日本代表がこれまで通り2列目の3人を中心とした細かいコンビネーションを軸にした攻撃を繰り出すとして、それがうまくいかなかった時にトルクメニスタン戦の後半のようなシンプルな戦いにいち早く切り替えられるかも注目すべきだろう。試合の中で流れを感じながら、状況に応じてチーム全体で意思統一を図って柔軟に戦い方を変えていくというのは、アジアカップを勝ち抜いていくうえで磨いていくべき要素の1つに違いない。

 グループリーグ初戦ではヨルダン代表がオーストラリア代表を破り、インド代表がタイ代表に大勝するなど「番狂わせ」が目立った。グループリーグが2戦目に入って、初戦を落とした強豪がしっかりと軌道修正して順当に勝ち点を奪えるようになってきたにもかかわらず、ピッチ上で繰り広げられるサッカーの実力格差はそれほど大きくないと感じる。

 やはり現実的に優勝を狙えるチームはコンディション面でも戦術面でもピークを決勝トーナメントに入ってからの戦いの中に設定しているため、どうしても大会序盤は苦しい戦いを強いられる傾向がある。だが、グループリーグ2戦目に入っても、イラン代表を除いて、楽に勝っているようなチームはない。

 UAE代表を率いるアルベルト・ザッケローニ監督は「アジア全体のレベルは着実に上がっている」と述べていたが、まさにその通り。出場国数が「16」から「24」に増えて、大会全体のレベル低下が危惧されていながら、蓋を開けてみれば全くそんなことはなかった。

 むしろ「準備」のレベルが上がったことで、いわゆる“弱小国”でも、大国と対等かそれ以上に渡り合えるところをピッチ上で証明している。トルクメニスタン代表もオマーン代表もFIFAランキングで見れば格下になるが、実際に日本代表ともそれほど大きな差はないだろう。だからこそ一層気を引き締めて、目の前の一戦一戦に集中しなければならない。

 優勝候補に挙げられるイラン代表や韓国代表、オーストラリア代表をはじめ、第2グループに属す中国代表やタイ代表も徐々に調子を上げている。日本もまずは2連勝で決勝トーナメント進出を確実にし、優勝に向かって余裕を持って調整できる状況を作り出したい。そのためにもオマーン戦はできるだけリスクを冒さず、手堅い戦いで力の差を見せつけて勝利を掴みたいところだ。

(取材・文:舩木渉【UAE】)

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最終更新:1/13(日) 13:07
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