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「歯列矯正」を頑なに拒んだフレディ・マーキュリー “特別な理由”を歯科医師が解説

1/13(日) 7:00配信

デイリー新潮

 世界的な人気バンドQUEEN(クイーン)のボーカルであるフレディ・マーキュリーの半生を描いた映画「ボヘミアン・ラプソディ」が大ヒットしている。歌手として大成したフレディだが、口元に特徴がある。いわゆる出っ歯なのだ。なぜ、フレディは歯列矯正をしなかったのか。

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 幼い頃から歯並びの悪さをからかわれ、フレディもそれをコンプレックスに思っていたそうだが、同作でもそれに侮蔑的に触れられる場面が何度も登場する。だが、フレディは、歯列矯正をするべきだというアドバイスには頑として拒んできた。それは歯並びを変えることで歌声に影響が出ることを恐れたからだったという。

 では実際にフレディが恐れているように歯列矯正をすると、歌声は変わるのだろうか。

 歯の健康や審美的な側面などから多くの人が実践している歯列矯正だが、ここでは表参道矯正歯科院長で歯学博士・日本矯正歯科学会認定医の川崎健一氏に解説してもらった。
 
「まず、歯列矯正をすることのメリットは、歯並びが改善することで見た目が良くなることです。そして、歯がでこぼこしていると、虫歯になりやすいのですが、歯並びが良くなると虫歯のリスクが減ります。また、かみ合わせが改善することで、咀嚼の効率が良くなり、胃の負担が減るといったメリットが挙げられます。ただし、フレディ・マーキュリーさんのようなプロの歌手の場合、歯列矯正が歌声に影響を与える可能性は否定できません」

アメリカではオペラ歌手が歯列矯正を拒否されたケースも

 川崎氏の知人のオペラ歌手が歯並びの悪さを気にしてアメリカで歯列矯正をしたいと申し出たところ、歯科医から拒否されたことがあったという。それほど、歌手にとっては歯の問題は繊細なことなのだ。

「アメリカは訴訟社会ですから、その歯科医は歌声が変わったとして患者から訴えられることを恐れたようです。確かに歯列矯正が歌声に影響を与える可能性はあると思います。歌手の方は発声の際、舌や口の周りの筋肉で非常に繊細で微妙なコントロールを行っています。矯正治療によって前歯を中に引っ込めた場合は、口腔内の容積が小さくなり、舌を動かせる空間が減少しますので、発声に影響が出る可能性もあります。1回矯正治療をすると、元に戻せませんから、プロの歌手が慎重になるのは当然のことと言えるでしょう。ただし、歯列矯正をすると、一般的には滑舌が良くなります。歯の間に隙間があると、空気が漏れて発声しにくい場合がありますし、『さしすせそ』『たちつてと』のような発音は、歯に舌が触って発音するので、歯並びによっては発音しにくい場合もあるのです」

 フレディの場合、奥歯に4本の余計な歯が生えており、それが原因で出っ歯になっていたそうだが、歯列矯正をする場合、それらを抜歯することになるだろう。普通の人でも健康な歯を抜くのは抵抗があると思うが、歯並びを重視するあまりに健康な歯を抜いたり削ったりすることで、噛み合わせなどが狂ってしまう可能性もあるのだ。

「抜歯は、歯の幅と顎の骨のスペースのアンバランスを解消するという意味では有効な方法ですが、健康な歯を抜くことは嬉しいことではありませんし、抵抗がある方が多いのも事実です。とはいえ、でこぼこの歯並びのままですと虫歯になりやすいですし、ものを噛みにくいなどの問題があります。抜歯をしてきれいな歯並びにして、それらのリスクを解消することは、トータルでとても意味のあることです」

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最終更新:1/13(日) 21:45
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