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山林の相続…各家の所有権を「自治会名義」にまとめる方法

1/18(金) 11:00配信

幻冬舎ゴールドオンライン

今回は、各家がそれぞれに持っている山林の所有権を、地域の「自治会名義」にまとめる方法を見ていきます。※本連載では、司法書士・社会保険労務士の鈴木慎太郎氏の著書、『そこが聞きたい 山林の相続・登記相談室』(全国林業改良普及協会)の中から一部を抜粋し、山林相続やそれに伴う登記(名義変更等)の疑問等について、Q&A方式で解説していきます。

相続した土地の地目を変更する場合の届け出は?

Q:山林を相続した場合には、市町村への届出が必要だと聞きました(森林法)。

また、農地を相続した際には農業委員会への届出が必要だそうです(農地法)。

さて、私が相続したスギ山は、元々は畑だったところで、地目が畑となっています。この場合の届出はどうなるでしょうか。また、地目を山林に変更することはできますか。

A:まずは、現況が森林であれば森林法についての届出を。農業委員会への照会も行ってください。

森林法に基づく届出では、現況が山林なら届出を要することになっているので、まずは森林法に基づく届出を市町村役場に行ってください。また、地目が畑であることから、農業委員会へも相談してください。

地目を変更したい場合、農地転用の許可あるいは現況が農地ではないという証明(非農地証明)が必要で、農業委員会が窓口になります。このため、いずれにしても農業委員会の指導を仰ぐ必要があります。

農業委員会から交布される農地転用の許可あるいは非農地証明の書類を得られたら、地目変更登記申請を行います。土地家屋調査士に数万円で依頼でき、本人申請も可能です。

共有林を「認可地縁団体」名義にするメリット

Q:集落内の各家が、山林の所有権を手放し、自治会名義にまとめたいと考えています。そのようなことは可能でしょうか。

A:可能です。新旧いくつかの方法があります。

昔からあるやり方として、自治会を法人格のない社団(権利能力なき社団)とし、その代表者名義で登記する方法があります。法人格のない社団とは、人の集まりに法律上の特別な地位を与えていないもの、例えばPTAや同好会などもそうです。その団体名義での登記はできませんが、代表者の名義で登記をすることで、事実上自治会名義の土地として扱う制度がずっと長く続いています。

ただこの方法だと、代表者が死亡・交代するたびに登記をやり直す必要があり、その都度手間と費用がかかるため、現代ではお勧めできません。

そこで、もう一つの方法は、自治会を法人にする方法です。具体的に言うと、自治会の規約や役員といった陣容を整えて「認可地縁団体」として市町村に認可してもらいます。こうすると、認可地縁団体名義で不動産登記が可能になります。

認可地縁団体を作るメリットとして、例えば昔から集落の人たちが共有していた山林があり、相続などによって現在の共有者が不明で連絡が取れない場合に、一定条件を満たせば名義を認可地縁団体に移せる特例制度ができました(地方自治法第260条の38)。

もっと具体的に見てみましょう。仮に、数十名で共有する共有林があり、登記簿上の名義を見ると、共有者が明治時代の方の名義のままだったという場合。この状態で、公共事業の予定地になったから売却したいと思っても、現在の相続人すべてを探索し、遺産分割協議などを成立させて、共有持分を今生きている人の名義に変えていかなければなりません。これが原則です。

しかし、認可地縁団体名義に所有権を移す場合に限っては、共有者が不明で連絡が取れない場合、一定条件を満たせば所在不明な人の協力が必要なくなります。非常に難航する部分を省略して所有権を移転できる、画期的な制度です。

「共有者が不明」の状態を明らかにしたり、公告が必要だったり、団体設立の事務もありますし、手間はかかります。また、質問にあるように各人それぞれの所有林であれば前記特例の対象にはなりませんが、「認可地縁団体」を作っておくのが手堅い方法だと思います。意図的に解散させなければずっと続けられますし、代表者の変更に伴う不動産登記も必要ありません。

一方、デメリットがないわけではありません。「地縁」と言うくらいですから、ある一定の地区に住む人は全員、申し込めばその団体の構成員にせざるを得ません。新しく住民票を移す人が増えたら、新しい方々が多数派になるということです。何かの団体に悪意をもってそうされたら・・・、という可能性も念のため、指摘しておきたいですね。

そこで、認可地縁団体ではなく、自治会あるいは地主会を「一般社団法人」として法人化し、そこに所有権を移すという方法もあります。その定款に、会員となれる条件を示しておけばいいのです。例えば、その地区に10年以上住んでいなければ会員になれない、などの条件を設けておくわけです。

ただし、先ほどの認可地縁団体の特例は該当しませんので、現在の所有者が全員はっきりしている場合のみ、現実的な選択肢となるかもしれません。いずれにしても、それぞれにメリットとデメリットがあるとお考えください。

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