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2019年ドラフト主役候補・奥川恭伸。田中将大の成績を上回る凄さ

1/21(月) 11:51配信

webスポルティーバ

 この冬、全国各地のさまざまな選手・指導者に会うたびにこう聞かれた。「奥川は見ましたか?」と。

■昨年以上の期待。2019年ドラフト戦線をリードする9人の逸材たち

 星稜(石川)の2年生エース・奥川恭伸(おくがわ・やすのぶ)が2018年秋の明治神宮大会で見せたパフォーマンスは、関係者に大きな衝撃を与えた。

 11月10日の広陵(広島)との初戦、バックネット裏に詰めかけたスカウト陣の前で、奥川は7回を投げて被安打3、奪三振11の無四球無失点の快投を見せつけた。試合は星稜打線が爆発し、9対0と点差が離れたため7回コールドで終わった。

 広陵は中国大会準決勝で創志学園(岡山)と対戦し、夏の甲子園で話題をさらった2年生右腕・西純矢から7点を奪い、8回コールド勝ちした中国チャンピオンである。西に対しては7回まで7安打1得点に抑えられていたものの、8回裏に3安打に3失策が絡まり一挙6得点のビッグイニングで試合を決めている。

 1年生ながら西と奥川からそれぞれ2安打を放った広陵の好打者・宗山塁は、西と奥川を比較してこう語っている。

「西さんの真っすぐは圧力があって、高めに威力を感じました。高めに力のある真っすぐが来て、最後に変化球を決め球に使うのですが、コントロールがいいわけではなかったんです。でも奥川さんはコントロールがよくて、無駄球がない。ストレートも変化球もキレがものすごくて、どちらでもストライクが取れるので絞り切れません。追い込んでから投げられる変化球がスライダーとチェンジアップみたいな落ちる球があって、当てられずに打ち崩せませんでした」

 そして宗山は実感をこめて、「奥川さんは今まで対戦したなかで一番のピッチャーでした」とつぶやいた。

 広陵との試合後、奥川は涼しい顔で会見場に現れた。疲労の色はどこにも見えなかったが、それもそのはず。何しろ、この試合で奥川は78球しか投げていなかったのだ。奥川は鈴なりの報道陣を前に、こう言ってのけている。

「いつも通り、7~8割の力でコース目がけて投げることができました」

 手を抜いたわけではない。自分のボールをきっちりとコースに投げ分けるために、あえてセーブして投げたということだ。

 奥川はこの投球スタイルを吉田輝星(秋田・金足農→日本ハム1位)の投球からヒントを得たという。吉田が酷暑の夏を乗り切るために編み出した「ギアチェンジ投法」は、大いに話題になった。打者や状況に応じて力加減を変える投球スタイルのことだ。奥川は夏の甲子園が終わった後、侍ジャパンU-18代表に2年生で唯一選出され、吉田の投球を学んでいたのだ。

 だが、奥川が明治神宮大会で見せたギアチェンジ投法は、もしかしたら吉田をしのぐ次元にあったのかもしれない。吉田がギアを落として投げる際、あからさまに球威が落ちて安打がかさみ、結果的に球数が増える傾向があった。

 一方、奥川はギアが落ちてもスピンの効いたボールがコースに決まり、変化球の精度も極めて高かった。まるで社会人野球のベテランエースのように、力感なくスイスイと投げ進めていく。高校野球レベルではめったにお目にかかれない「大人の球質」だった。

 明治神宮大会では7回78球で終えた広陵戦に続き、準決勝の高松商(香川)戦では7回100球で被安打4、奪三振12、失点1(自責点0)、決勝の札幌大谷(北海道)戦は途中リリーフで1回1/3を19球、被安打0、奪三振3、無失点で封じている。

 もちろん打線のレベルが天と地ほども違い、気候もまったく違う夏と秋の大会結果では比較にならない。だが、条件の違いを差し引いても奥川の投球はずば抜けていた。

 この奥川の投球センスは、かほく市立宇ノ気中時代から備わっていた。奥川を擁した宇ノ気中は2016年夏の全国中学校軟式野球大会(全中)で全国制覇を果たしている。小学校時代から現在まで奥川とバッテリーを組む捕手の山瀬慎之助は言う。

「練習でダメでも試合になると抑える。そういう才能を持っているんだと思います。勝負どころではいつもボールが全然違いますから。キャッチャーとして『ピンチでこうあってほしいな』というピッチングをしてくれるんです。奥川が焦っているところや、いっぱいいっぱいなところは見たことがありません」

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