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鳥取一の進学校・米子東をセンバツに導いた「超合理的思考法」とは

1/25(金) 15:39配信

文春オンライン

「将来監督になった時に必要な下準備は何だろう」

 それでも、当時からいずれは野球部を率いて日本一になりたいという想いは抱いていた。そんな中で、大学卒業後に様々な高校でコーチをする機会があり、それが現在の指導の原体験になっているという。

「いきなり監督を任されると、やっぱり『強いチームの監督に話を聞こう』という発想になりがちだとは思うんです。でも、僕の場合はなかなか教員採用試験に受からなくて、講師をやりながらいろんな学校でコーチをやる期間が長かった。なので、その頃から『将来監督になった時に必要な下準備は何だろう』と考えて、まずは体のことを知るためにスポーツトレーナーの資格を取ろうとか、栄養の勉強をするために栄養士の方々と一緒に勉強会に参加させてもらおうとか、強化のための細かな要素から考える形になりました。強くなるための課題を細分化して、それをひとつずつ潰していく。今にして思えばその発想がすごくプラスになっていますね」

 やるべきこととそうでないことを区別し、限られた時間をいかに有効的に使っていくか。紙本の超合理的な指導論の土台は、コーチ時代に培われていった。

文武『両道』ではなく、文武『不岐』なんだ

 文武両道の学校らしい、スマートな指導法ですね――話を聞いてそんな感想を漏らすと、紙本は少し困ったように苦笑した。

「僕、文武両道という言葉がよくわからないんですよ。文武両道というのは、部活と学校の勉強は別物だという前提があるから『両道』という話になるわけですよね。でも、学校の目的ってテストで点を取るだけじゃない『学力』を身に着けることでしょう。その手段として部活があるんだと思うんです。国語、数学、社会とかの科目も、野球部での活動も、全部横並びで、等しく学力を養う手段に過ぎないと思うんです」

 野球部での部活動も学校の勉強もあくまで同じフィールドの一科目にすぎない。紙本はそう考えているのだという。

「だから僕は生徒に『文武は不岐だ』と言っているんです。文武『両道』じゃなくて文武『不岐』なんだと。要は学校の勉強を頑張ることが野球が強くなることにつながっていて、野球や甲子園で勝つために毎日頑張ることが、みんなの受験に活きるんだということですね。野球のためのトレーニングが最終的にはテストの点にもつながるんだと、そういう話をしています。大学入試でいい点を取ることと、部活に打ち込むことは、別に相反することではないでしょう」

 

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最終更新:1/25(金) 16:06
文春オンライン

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