ここから本文です

海自リチウム潜水艦 中国海軍に脅威

1/30(水) 1:29配信

Japan In-depth

【まとめ】

・海自は潜水艦電池のリチウム化を開始した。

・目的は南シナ海でのゲール・デ・クルース(巡洋艦戦略)。

・期待効果は中国海軍力の分散である。

【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されないことがあります。その場合はJapan In-depthのサイトhttps://japan-indepth.jp/?p=43863でお読みください。】



リチウム潜水艦「おうりゅう」の完成が間近い。水中動力を変更した最新艦である。従来は浮上状態ではディーゼル、水中では鉛電池とAIP(Air-Independent Propulsion:非大気依存推進)と呼ばれる水中エンジンを用いていた。そのうち後2者をリチウム・イオン電池に改めた新基軸艦である。

リチウム電池採用により水中行動力は一挙に拡大する。電池容量はおそらく8倍程度に増加する。リチウム電池の容量は鉛電池の4倍以上ある。また、撤去されたAIPエンジン部分にもおそらくリチウム電池が設置される。つまり容量4倍の電池を2倍積み込むのだ。

海自はこのリチウム潜水艦で何をしようとしているのだろうか?南シナ海でのゲール・デ・クルース(guerre de course)である。旧軍では「巡洋艦戦略」と訳された海軍戦略である。リチウム化による性能向上、具体的には長距離展開能力、戦域内移動力、接敵能力の強化はそれへの指向を示している。またAIP撤去も従来の待ち伏せ主要からゲリラ戦への変化を示唆している。

海自はそれにより中国海軍力の分散を目論んでいる。潜水艦を広範囲に行動させる。南シナ海あるいはマラッカ西方まで展開させる。それにより中国に広範囲での潜水艦対応を強要する。また中国に南シナ海防衛を強要し、対日正面戦力の転用・減少を狙うアイデアである。



■ 長距離展開が可能となる

「おうりゅう」登場はゲール・デ・クルースへの転換を示している。リチウム電池化で得られる諸能力、長距離展開の実現、戦域内移動力の向上、接敵機会増大はそのための性能向上だからだ。

なによりも長距離展開能力はゲール・デ・クルースに必須である。本旨となる遠洋展開力そのものだ。ありとあらゆる海洋に軍艦を展開し、敵に脅威を与え敵海軍力の分散を強制する。そのためには欠かせない。

リチウム化はそれを実現した。海自潜水艦は倍以上も遠くまで進出できるのだ。南シナ海展開は今よりも容易となる。あるいはマラッカ西口展開も実現性を帯びる。電池容量拡大と充電時間短縮の成果だ。

今日、在来潜水艦は基本的には潜水状態で移動する。水中移動して、ディーゼルで充電してを繰り返す。スノーケル航行による移動はあまりやらない様子である。当然、移動力は制限される。鉛電池型では最大でも4kt(7km/h)、100時間、400nm(740km)程度だ(*注)。それで電池切れだ。そして充電を完了するまで10時間位はかかる。実際は放電量1/3~1/4で小充電をするのだろう。ただ能力はその程度である。

それがリチウム化により2-4倍となる。電力容量8倍はそれを可能とする。速力2倍で消費電力を4倍としてもなお2倍の時間移動できる。8ktで最大200時間、1600nmを移動できるのだ。

しかも充電時間は従来のままだ。リチウム化で充電速度も約8倍程度に上がる。充電電流量は5倍となり電力量から貯蔵量への変換効率も1.5倍となる。つまり7.5倍だ。8倍容量の電池でもほぼ同じ時間で充電できる。

これはゲール・デ・クルースに有利である。より遠方まで進出して潜水艦脅威を与えられる。計算上、鉛電池では呉―バシー間は2週間程度を要する。それがリチウムでは6日半となる。さらには呉から10日で南沙諸島まで展開可能となる。

1/2ページ

最終更新:1/30(水) 1:29
Japan In-depth

Japan In-depthの前後の記事

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事