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<目撃>キリンの背中に乗るライオン、5時間にわたる攻防の意外な結末

1/31(木) 16:10配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

粘り強いライオンの攻撃、それでもキリンは…

 まるでふざけてお父さんにしがみつく子供たちのようだ。大きなキリンの背中に1頭、脚に2頭のライオンがしがみついている。それでもキリンは、ひるむことなくのしのしと進む。

【動画】キリンの背中に乗るライオン、攻防の結末

 これは南アフリカ共和国のクラセリー動物保護区で撮影された狩りのシーン。ライオンの群れが力を合わせ、おとなの雄キリンを倒そうとしている。動画を撮影したサファリガイドのフランソワ・ピナール氏は、これまでのキャリアで一番すごい光景だと述べている。ピナール氏によれば、ライオンとキリンの攻防は5時間も続いたという。

 ライオンの狩りでは、体にしがみつく作戦はよく見られると、サンディエゴ動物園保全研究所の研究者デビッド・オコナー氏はメールで述べている。ライオンは通常、後ろ脚、背中、首の順番で獲物を攻撃する。しかし、相手がキリンの場合、特に直立している場合は、最後のステップ「首攻撃」を省略せざるを得ない。首の長いキリンの急所は、事実上「立ち入り不可能」だとオコナー氏は説明する。だからこそ、動画では、おかしな膠着(こうちゃく)状態が続いたのだ。

 おとなのキリンを仕留めることは、つまり、地面に倒すことを意味する。

 大型ネコ科動物の保護に取り組むNPO「パンセラ」の代表ルーク・ハンター氏によれば、通常は全速力で走っているキリンを転ばせるか、数頭でキリンの体に乗り、重みで押し倒すかのどちらかだという。「(キリンの背中に乗った)雌ライオンは後者を狙っていたようですが、1頭だけでは成功しません。もし群れの仲間たちが加勢していたら、効果があったかもしれませんが」

 NPO「キリン保全財団」のディレクター、ジュリアン・フェネシー氏はメールで取材に応じ、ライオンはたいてい若いキリンを狙うが、おとなを攻撃することも珍しくないと説明している。フェネシー氏とオコナー氏が珍しいと考えているのは、ライオンの群れが5時間も粘った点だ。この地域には、もっと楽に捕まえられる獲物がたくさんいる。しかも、「おとなの雄キリンが一蹴りすれば、ライオンは死ぬことだってあります」とオコナー氏は話す。

 フェネシー氏も「驚異の忍耐力」と舌を巻いている。

 だが結局、粘り強い攻撃は報われなかった。動画を撮影したピナール氏によれば、キリンはライオンたちを振り払い、その後の数時間、寄せつけなかったという。ライオンたちが近づこうとするたび、キリンは踏みつけるそぶりで威嚇したそうだ。オコナー氏もフェネシー氏も、キリンがライオンを撃退したことには驚いていない。

「おとなのキリンは(ライオンたちより)長く生き、経験を積んでいます。その過程で、いくつか秘策を学んだのでしょう」とフェネシー氏は話す。「今回見せてくれたのは、犠牲にならないための秘策です」

文=NATASHA DALY/訳=米井香織

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