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米中貿易戦争は根が深く、短期で終わらない

1/31(木) 5:20配信

東洋経済オンライン

世界的に金融市場と経済の先行きに不透明感が増している。今後の世界経済の見通しについて、元・財務省財務官の渡辺博史・国際通貨研究所理事長に聞いた。
 ――2018年秋以降の株式など金融市場の乱高下をどう見ますか。

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 アメリカのダウ平均株価はFRB(連邦準備制度理事会)による過剰流動性の供給で、2万4000㌦より上の水準は「水ぶくれ」状態にあった。調整でいったんその水準を割り込んだが、その後また2万4000㌦台に戻しており、マーケットの崩壊は起こっていない。日本の平均株価も2万2000円以上は水ぶくれで、狼狽売りにより一時2万円を割り込んだが、最近は戻り歩調にある。基本的に日本株はアメリカ株の「ミラー(鏡)相場」といえる。

 トランプ氏が大統領に当選した後、証券界や産業界が見ていた夢がはがれた格好ともいえる。対中関税の引き上げや政府機関の閉鎖、株安の原因をパウエルFRB議長ら周囲に転嫁したことはみなトランプ氏自身が起こしたもの。トランプ氏が自分でまいた種を自分で刈り取ったと考えればよい。日本の株式市場は残念ながら、それにあおられたところがある。

 為替については、2018年は過去十数年でもっとも変動の少ない年だった。2019年の初めに一時1㌦=104円台をつけたのは時期的な薄商いの影響が大きい。日米金利差はさほど変化がなく、日本がアメリカにやや劣後する景気の差にも変わりはない。株式や為替市場の見た目ほど実体経済に変化はなく、みんな市場に惑わされている印象が強い。ここから先は日米ともに相場がさほど悪くなるとは見ていない。

■景気対策や減税がアメリカ景気を下支えする

 ――アメリカの今後の景気については? 

 2019年も2020年も、景気がリセッション(後退)に陥るようなことにはならないだろう。2018年に比べてややスローダウンすることは仕方ないとしても、2%前後のそこそこよい景気が2020年にかけて続くのではないか。パウエル議長も利上げはゆっくりやると言っているし、2020年の大統領選に向けてトランプ氏も何らかの景気対策を打ってくるだろう。野党の民主党としても自らの点数稼ぎのために中低所得層向けの景気刺激策を提案し、減税という点では与野党が手を結ぶかもしれない。それらが景気を下支えしそうだ。

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