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日本って「行事」が多過ぎませんか?(中川淳一郎)

2/2(土) 5:55配信

デイリー新潮

 成人の日にこの原稿を書いていますが、日本って「行事」が多過ぎませんか? 正月には親戚と会いお年玉を子供達にあげ、その後は初詣、成人式、節分で豆まきと恵方巻があり、バレンタインデーを経てひな祭り、卒業式、入学式、歓送迎会、花見、お盆、月見、七五三……、もういくらでも挙げられるのですが、「やらなくてはいけない空気」が醸成され過ぎ。

 中学は日米で通いましたが、両国の行事の数を比較したら愕然としました。

【日本】入学式、春の遠足、各始業式・終業式、林間学校、運動会、合唱コンクール、文化祭、校外授業、授業参観、カルタ大会、スキー教室、3年生を送る会、卒業式(ちなみに部活は強制参加)

【米国】入学式、卒業直前遠足、卒業式(部活はない)

 高校では3年生が参加するダンスパーティーの「ホームカミングダンス」と4年生が参加する「プロム」がありましたが、両方とも自由参加でした(というか相手がいないヤツは参加できない)。部活も任意で、遠足も試験期間もありませんでした。全員参加が基本の卒業式は辛うじてあったものの、入学式さえなかった! 

 これを考えたら、すべてをこなす日本の子供達の忍耐力と、お金を出し、準備をする親の努力に頭が下がります。学校行事が果たして大人になった時に大事だったかといえば、今考えると大事ではなかったと思いますし、行事をこなさないアメリカ人が無能かといえばそんなことはない。

 アメリカの場合は、様々な行事の開催を地元の教会が担っている面もあるため、一概に比較はできませんが、やはり日本は強制されたり「空気」に従わざるを得ないことが多過ぎです。

 学校以外の行事にしても、祝日は州によって異なるものの、8~10日程度です。大きなものでいえば、7月4日の独立記念日、11月第4木曜日の感謝祭、12月25日のクリスマスといったところで、各人が何かを「やらなくちゃいけないよね……」的空気になることは滅多になかった。

 一昨年、ネットで「“小中学校の友人”なんてクソみたいなもの」というコラムを書いたら「林先生が驚く初耳学!」(TBS系)で取り上げられましたが、趣旨としては「小中学校の友人なんてどうせ大人になったら会わなくなる程度の関係だから、いじめられていたりしても絶望せず自殺するな」というもの。

 中には学校行事がとんでもなく嫌いな子もいると思うんですよ。そんな子も参加を強制され、挙句の果てには世間の空気が作る行事にも参加しなくてはならない。

 私は広報・マーケティング・編集関連のセミナーの講師をしていますが、もっとも多い質問が「どうすれば色々な人と知り合いになれますか?」というものです。広報担当者であれば「どうすればわが社を取り上げてくれるマスコミ関係者に会えますか?」というもので、他のセミナーでも同様に、自分にメリットのある人との出会いに皆さん苦心している様が窺えます。

「飲み会をすればいいんじゃないですか」としか答えようがないのですが、行事の多さにより、流れに従うことに慣れ過ぎたのか、「規定演技」以外をしてはいけないと思っている大人が多いのが最近気になっています。

中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)
1973(昭和48)年東京都生まれ。ネットニュース編集者。博報堂で企業のPR業務に携わり、2001年に退社。雑誌のライター、「TVブロス」編集者等を経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『ウェブでメシを食うということ』等。

まんしゅうきつこ
1975(昭和50)年埼玉県生まれ。日本大学藝術学部卒。ブログ「まんしゅうきつこのオリモノわんだーらんど」で注目を浴び、漫画家、イラストレーターとして活躍。著書に『アル中ワンダーランド』(扶桑社)『ハルモヤさん』(新潮社)など。

「週刊新潮」2019年1月31日号 掲載

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最終更新:2/2(土) 5:55
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