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株価急落中のサンバイオ社長を直撃「“夢の薬”の開発は諦めていない」

2/4(月) 6:50配信

ダイヤモンド・オンライン

 東証マザーズで時価総額トップだったバイオベンチャー「サンバイオ」が1月30日以降株価を大きく下げている。他のバイオ関連銘柄も下落し、“サンバイオ・ショック”なる言葉も飛び出した。きっかけは1月29日に発表した治験の失敗。開発中の再生細胞医薬品「SB623」が、米国での慢性期脳梗塞患者対象の第2相臨床試験で主要評価項目を達成できなかったのだ。森敬太社長が本誌の緊急インタビューに応じた。(「週刊ダイヤモンド」記者・土本匡孝)

 ――まずは夢の薬だと期待されている再生細胞医薬品「SB623」について、簡単に教えてください。

 再生医療の中でも、栄養因子と呼ばれているものです。患者が元々持っている「神経が再生する能力」に対して、SB623が働きかけて、患者の脳を回復するというメカニズムです。損傷部位の周りに、注射で直接投与します。

 慢性期脳梗塞(米国)、慢性期外傷性脳損傷(日米)で治験を始めています。慢性期脳出血(日米)でも治験をする予定です。いずれも根本的治療はまったく無かった分野ですので、患者は本当に新薬を待っています。

 なぜSB623が夢の薬と呼ばれるか。脳を再生させる薬がまったくなかったからです。この100年間、「人の脳は再生しない」が定説だったのです。その常識を覆すべく、私たちはやってきました。

 ――1月29日の発表は、投資家にとってネガティブサブライズ。なぜなら2018年11月に発表した慢性期外傷性脳損傷の日米グローバル第2相臨床試験では良好な結果を得られており、「慢性期脳梗塞でもクリアするのでは」との期待感が高かったからです。(*医療用医薬品として国に承認されるためには、適応症ごとに第1相~第3相臨床試験をクリアしていかなければならない)

 残念ながら確かに主要項目を達成できず、大きな騒ぎになっています。私どもも自信を持っていましたし、社会全体の期待も大きかったと思います。大勢の脳梗塞患者がいて、SB623以外に希望がないのですから。1月29日以降、数えきれないくらいの患者から「開発を止めないでほしい」との声を頂いています。

 これから詳細に、慢性期脳梗塞の米国第2相臨床試験のデータ解析をしていきます。3~4ヵ月で結果が出る見通しで、学会などで発表します。

 一方、慢性期外傷性脳損傷では、日本で今期(20年1月期)中の承認申請を目指し、米国で第3相臨床試験に進むというスケジュールに変更はありません。

 ――慢性期脳梗塞で米国第2相臨床試験をやり直す可能性は?

 データ解析の結果を見て、やり直す可能性はあります。

 一般的に、薬がよく効いた患者、そうでない患者のデータを踏まえて、再び試験に臨むことはよくあります。すべては詳細にデータを解析してからです。再試験の成功確率を上げようにも、失敗の原因によってやり方が変わってきますので。

 例えば今回、処方する薬の濃度を何パターンかに分けて試験したので、濃度が高ければ効くのかとか。あるいは脳に直接注射する方法ではなく、もっと吸収されやすいような剤形(薬の形)に変更するとか。

 今回の試験結果は非常に残念でしたが、安全性にはまったく問題ないという結果が出ました。そういう意味では希望を持っています。安全性にペケが付く(=毒性、副作用)と、開発は非常に厳しくなりますので。

 薬の世界の開発はうまくいくだけではなくて、成功確度としては一定のものがある。一度思った結果が出なかったからそこで諦めるのではなく、もう一度工夫をしてやり直してとかはよくあります。ですので、開発を諦めていないことを強調したい。1日でも早く、試験結果の究明をします。日本での慢性期脳梗塞の臨床試験はまだ始まっていませんが、こちらも諦めていません。

 ――第2相臨床試験をやり直すとすれば、再び多額の開発費が掛かります。開発パートナーである準大手の大日本住友製薬と折半とはいえ、ベンチャーにとっては悩ましいことだと思いますが?

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