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米国「出産ツアー」取り締まり強化で、中国人妊婦どこへ行く

2/8(金) 19:00配信

クーリエ・ジャポン

「赴美生子(フゥメイションズ)」とは、中国人妊婦が子供の米国籍取得を目的にわざわざ米国で出産することを指す。その数は2007年の600人から2017年は8万人まで激増し、違法な斡旋業者もはびこるようになった。

米当局はいよいよ大なたを振るい始めた。2019年1月31日、米カリフォルニア州を舞台に違法な米国出産ツアーをおこなっていた中国系業者が一斉摘発され、4人が現行犯逮捕されたのだ。

トランプ大統領はこれに先立つ2018年11月、米国で生まれた子供に例外なく米国籍が与えられる「出生地主義」を撤廃する考えを表明している。中国人の米出産ビジネスはこのまま消滅するのか、それとも──。

米「ニューヨーク・タイムズ」紙によると、米警察当局は1月31日、中国人妊婦を訪米させる「生育旅遊(出産ツアー)」を企画・催行していた中国系業者の20人について、ビザの違法取得や資金洗浄などの容疑で逮捕状を請求。ロサンゼルス米連邦検察も容疑者らを起訴した。20人のうち16人は、すでに中国へ逃亡したという。斡旋業者はいずれも年商数百万米ドル(約1億~9億円)単位で繁盛していた。

中華圏の妊婦には、完全ケア型のマタニティホテル「月子中心(産前後センター)」に1~2ヵ月間滞在して出産する習慣があり、違法業者はいずれも、ツアー催行と月子中心の運営を兼ねていたようだ。

ロサンゼルス近郊の都市アーバインで月子中心「ユー・ウィン・USA」を経営していた李冬媛(41)は、高級マンションの居室20数戸を賃借し、妊婦1人当たりから4万~8万米ドル(約440万~880万円)を徴収していた。費用には、3ヵ月間の米国滞在費用や医療費、国籍申請代行費用などが含まれる。

李はマンションの部屋について「自前の施設」と偽り、2年間で500人以上の中国人妊婦を滞在させたという。


AP通信が取材したところ、ロサンゼルスの月子中心「スター・ベイビー・ケア」を運営していた鄧文瑞(65)は、アーバインやローランドハイツのマンション40戸以上を賃借し、米国最大の業者に成長。8年間に2000人以上の妊婦をケアし、ロシアやウクライナからの客も引き受けていたらしい。

さらに、ロサンゼルス郊外サンバーナーディーノで劉維岳(42)夫妻が経営していた月子中心「USAハッピー・ベイビー」は、1人当たり10万米ドル(約1100万円)の高額費用で知られていた。顧客には、北京市公安局、河南人民広播電台(河南省人民ラジオ局)、哈爾浜医科大学(ハルビン医科大学)などの政府機関に勤務する党幹部たちが名を連ねていた。

米国土安全保障省移民・関税執行局(ICE)のマーク・ジト特別補佐官は、「これら違法な出産ツアー会社が多数の共産党幹部を顧客に抱えている実態は、我が国の安全保障と社会保障に深刻な影響をもたらす」と述べ、懸念を深める。

米国で生まれた米国籍の子供は、21歳を過ぎれば両親を米国に呼び寄せることが可能だ。このため、自分自身の移住を視野に娘の米国出産を支援する親も少なくない。「こうして住み着いた中国人は米国の社会インフラを食いつぶし、中国当局の情報収集活動にも加担するようになる。看過できない問題だ」(ジト特別補佐官)。

ちなみに、出生地主義国で産まれた外国人の子供は、その国に錨(アンカー)を下ろして船(家族)を手繰り寄せることから「アンカー・ベイビー」と揶揄されている。

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