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【文豪の湯宿】石川達三が命名した「木かくれの湯」がある名宿〈週刊朝日〉

2/11(月) 17:00配信

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 旧三菱財閥岩崎家の別荘を譲り受け、昭和24年に開業した強羅環翠楼。客室「華清」にある内湯「木かくれの湯」の名は昭和28年、第1回芥川賞受賞作家の石川達三によって付けられた。一緒に訪れた尾崎一雄も共同風呂の一つを「巽の湯」と命名。社会派長編小説の旗手と短編私小説の名人という、立場の異なる2人をつないだのが、年に数回、この宿で開かれた文壇親睦会「辰巳会」。その縁で風呂の命名者となったのだ。

 尾崎士郎、火野葦平、田村泰次郎、井上友一郎ら会員は、宿に到着するとすぐに碁や将棋に熱中。石川は尾崎一雄の追悼文に「私の方が三目くらい置いて打った」と書いているが、実力拮抗の碁敵同士だったようだ。

 夜の宴会では各人に1人ずつ芸者を呼んで豪勢に遊び、2次会は駅前の娼家にも繰り出した。しかし売れっ子作家ばかりの親睦会。遊んでばかりではない。特に石川は、「朝起きぬけに連載中の新聞小説を一回書いてのけ」たと、会の幹事役だった朝日新聞記者の新延修三は著書『朝日新聞の作家たち』で回想している。多忙極まる石川だったが、会を欠席することはなかったという。(文/本誌・鈴木裕也)

■強羅環翠楼(ごうらかんすいろう)
神奈川県箱根町強羅1300

※週刊朝日  2019年2月15日号

最終更新:2/11(月) 17:00
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