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桑田佳祐は人の心と時代を動かすポップスター 『KUWATA CUP』は音楽とスポーツの壁を超える

2/8(金) 12:04配信

リアルサウンド

 昨年12月31日の『NHK紅白歌合戦』において、とびっきり刺激的でピースフルなパフォーマンスを見せ、日本を明るく照らしたサザンオールスターズ。その翌日である今年の元日に、桑田佳祐 & The Pin Boysは「レッツゴーボウリング」をリリースした。前夜のサザンオールスターズのスケール感とは一転、“ボウリング”に照準を絞った楽曲。その桑田佳祐の極端な振れ幅に、また私たちは驚かされることとなった。しかし、これらの動きには、大きな共通点がある。それは、愛情と遊び心だ。まず、音楽シーンの大御所から、こんなピュアな原動力が見えることが奇跡的である。このふたつの要素に火が点き、時にキャンプファイヤーのような大きな炎となり、時に職人のバーナーのような熱い炎となる。火は絶やさぬように、バランスよく形を変えながら。ーーそれが、今の桑田佳祐なのだと思う。

 今回その熱が向けられた先が、ボウリング。そもそも「レッツゴーボウリング」は、日本ボウリング競技 公式ソングということで、桑田と相思相愛ぶりを発揮しているに留まらず、一大ボウリング大会『KUWATA CUP 2019』の公式ソングにもなっている。好きが高じて自身の名前を掲げたボウリング大会まで開かれてしまうあたりは、さすが桑田佳祐という規模感である。しかし、今、ボウリングは、桑田が好きというだけではなく、実際に現場で盛り上がりを見せているという状況もあるのだ。

 ボウリングブームと言えば、「レッツゴーボウリング」の歌詞にも〈律子さん〉と出てくる、中山律子らが活躍した1970年代を思い出す人が多いかもしれないが、2000年代半ばから、女子プロボウラーによるボウリングエンターテインメント「P★League」の注目度が急上昇。近年では、ライブやトークショーが開催されるボウリング場もあり、スポーツとしてだけではなく、エンタテインメントとして楽しむ人も増えているのだ。『KUWATA CUP』にも、約3万人が参加。11月から全国予選会が開かれており、本大会が2月8日と9日、決勝大会が2月10日に行われるということで、いよいよフィナーレ目前なのである。

 じわじわと盛り上がっていたボウリングに、桑田佳祐が追い風を吹かせたとも言える「レッツゴーボウリング」。音楽を越えた場所にも影響をもたらしているところからは、桑田佳祐が真のポップスターであるという事実が表れているように感じられる。桑田佳祐が“楽しく巻き込む”達人であることは、紅白歌合戦を思い出してもらえればわかりやすいだろう。あらゆるジャンルの出演者がズラリと並ぶステージの真ん中に立ち、芸能界の重鎮・北島三郎に呼びかけ、ともに日本のポップスを築いてきた松任谷由実と踊る映像は、“歌はあらゆる壁を取っ払うことができるんだ”という理想のような現実をまざまざと見せつけ、日本中の老若男女を巻き込んで盛り上げた。そして今度は、桑田佳祐 & The Pin Boysで、音楽とスポーツという壁を越えて、その全てを愛する人を巻き込み、ブームを盛り上げている。人を動かし、心を動かし、時代を動かす。これぞポップスターだ。

 しかし、その大本にあるのは、前述したように、愛情と遊び心というピュアなもの。「レッツゴーボウリング」にも、それは表れている。〈悲しい気分で落ち込む時にゃ/ボウリングをするのです〉と、ボウリングに詳しくない人にも興味をそそられる歌詞を冒頭に入れつつ、〈ストライクが出りゃ嬉しいが/テンピン取るのは難しい〉と、ボウリング好きが頷けるようなフレーズも織り交ぜ、さらに〈軽やかなステップも/ド派手なフォームも/みんな自由でしょう〉というところからは、彼自身の哲学まで見えるよう。それらを、ちょっぴり哀愁ただようメロディと軽やかなリズムで、心踊るポップスに仕上げているのだ。肩ひじ張らずに接することができる人懐っこいところに、桑田佳祐とボウリングの魅力が重なっているようにも感じられる。

 この最強タッグで、ボウリングブームは益々加速していくに違いない。『KUWATA CUP』のフィナーレを楽しみに待つとともに、あなた自身もぜひ「レッツゴーボウリング」してほしい。きっと〈素敵な仲間が待ってます〉よ!

高橋美穂

最終更新:2/8(金) 12:04
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