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【カドカワ】「ニコ動」離れが止まらず窮地 統合シナジー見えぬ異例タッグ

2/8(金) 6:01配信

ダイヤモンド・オンライン

 インターネットと出版の異例のタッグで誕生したカドカワ。だが、成長エンジンであったはずのネット事業は衰退し、出版業界もいずれはジリ貧。統合による新たな成長の柱も、一向に見えてこない。(「週刊ダイヤモンド」編集部 山本 輝)

 「動画重過ぎ」「もはや“オワコン”」――。インターネット上にあふれ返る辛辣な意見の数々がユーザー離れの窮地を物語る。

 2014年、ネット事業を手掛けるドワンゴと出版大手のKADOKAWAが経営統合して誕生した、持ち株会社のカドカワ。ネットと出版という異例のタッグの内実は、出版業界が衰退傾向にある出版社が将来有望なネット企業に“救済”を求めた格好でもあった。

 だが、当時隆盛を誇った旧ドワンゴのネット事業は、いま凋落の一途をたどっている。

 18年3月期決算のセグメント別営業利益では、出版部門の60億円に対し、ウェブサービス部門は10億円の赤字に転落。16年3月期の同部門の営業利益率は14%と、出版部門の6%をはるかに凌いだが、立場はすっかり逆転した(図2)。

 元凶は、冒頭の通り主力動画サービス「niconico(ニコニコ)」のユーザー離れによる不振だ。

 ニコニコは、もともとユーザー投稿型の動画サービスとして若年層を中心に拡大、有料会員の課金収入によって成長を遂げてきた。

 だが、ユーザー投稿型のサービスではここ数年、広告収入モデルの「YouTube」にそのお株を奪われた。画質の悪さや動画の重さといったシステムの劣後に対する改善の遅さも手伝い、有料会員数は急減。19年9月時点で有料会員は194万人とピーク時から50万人以上落ち込んだ(図3)。

 同社は、有料会員数のV字回復のハードルは高いとみており、「投げ銭」といわれる都度課金型の売り上げの比率を2割から今期末に5割にすることで、有料会員による定期収入依存からの脱却を狙う。

 加えて、ニコニコをプロモーション基盤とした新規サービスを複数投入することで巻き返しを図る。

 昨年11月にリリースした位置情報ゲームアプリの「テクテクテクテク」は、開発に数年をかけた超大作で、とりわけ期待は大きく、こうした新作ゲームの貢献などで、19年3月期はウェブサービス部門で前期比20億円の増益、映像・ゲーム部門で同41億円、2.4倍の増益を狙う野心的な計画を立てる。

 だが、ユーザーの不信感は募り、他の動画サイトでのコンテンツ多様化はますます進む。こうした環境で、ユーザーをどこまでつなぎ留められるかは未知数だ。

 対照的に、出版部門の業績は安定そのもの。特に、同社の強みである電子書籍事業は絶好調だ。

 今期は、海賊版サイト「漫画村」の閉鎖事件以降、各電子書籍事業者がキャンペーン攻勢をかけたこともあり、電子書籍の外販売り上げは上半期で前年同期比39%増。紙媒体の不振をカバーする。

 リスクがあるとすれば「所沢プロジェクト」と呼ばれる、総額400億円を掛けた巨大投資だ。

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