ここから本文です

茨城・女子大生遺体遺棄 なぜ捜査一課長は“読売新聞の一報”に激怒したのか

2/9(土) 7:00配信

文春オンライン

 ドストエフスキーは自分の思想の実現のために老婆を殺めた若者を描き、カミュは「太陽のせい」と殺人犯に言わしめた。だが、さしもの文学者たちも、この男の殺人の動機に考えを及ばすことはできなかったかもしれない。東京都葛飾区の女子大生、菊池捺未(なつみ)さん(当時18)の遺体を茨城県神栖市に遺棄した容疑で警視庁捜査一課に逮捕された、広瀬晃一容疑者(35)だ。

【写真】女子高生を買春した過去もある広瀬容疑者

 この事件、当初はメディアによる情報の“拡散”で立件が危ぶまれたという。警視庁担当記者が解説する。

「菊池さんが行方不明になったのは昨年11月のことですが、各社は沈黙を守っていました。報道が過熱した直接のきっかけは読売新聞の一報です。読売は広瀬の任意聴取のタイミングで報道。事件の行方を見守っていた各社も報道に踏み切り、警視庁捜査一課の小林敦課長は『捜査妨害だ』と激怒していた。広瀬は任意聴取にも最初は関与を否定し続け、認めたのは報道から1週間後。ヒヤヒヤしましたが、供述通り遺体が出るなどその後の捜査は順調で、殺人容疑で再逮捕する方針です」

事件のきっかけも殺人の動機も「ネット」だった

 菊池さんは事件前、オンラインゲームなどを通じ、複数の人物とやりとりがあった。広瀬は菊池さんと「携帯電話の通信アプリの掲示板で知り合った」などと供述。最初は自宅付近のコンビニで落ち合い、目隠しをして車で自宅に連れて来たのち、離れた場所に連れ出して放置。菊池さんは自力で再度、広瀬のアパートまで辿り着いたが、そこで命を絶たれたと見られる。

 広瀬は2年前、SNSで知り合った女子高生を買春したとして有罪判決を受けており、SNSの悪用は筋金入りだ。

 SNSがきっかけで事件に巻き込まれた子供は5年連続で増加し、2017年には1813人に上る。今回の事件についていえば、事件のきっかけどころか、殺人を犯す決定打となったのもネットでのつながりだったようだ。

「広瀬は『(これまでの行動を)ネットで拡散すると言われ、携帯を奪おうとしたら騒がれた』と供述。口をふさぐなどして窒息死させたとみて詳しく調べています」(同前)

 ネットの炎上対策が企業相手の商売となる昨今、ネットで拡散された傷は一度負えば拭えぬほど大きい。だが、それを人命より尊ぶとは……現実は小説よりも恐ろしい。

「週刊文春」編集部/週刊文春 2019年2月14日号

最終更新:2/9(土) 12:51
文春オンライン

記事提供社からのご案内(外部サイト)

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事