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歯の食いしばり癖に注意!|つまずきやすい人は、アゴの緊張が原因?

2/12(火) 7:05配信

サライ.jp

文/藤原邦康

前回の記事で、股関節の屈曲・外旋作用を担う腰筋群(大腰筋・小腰筋)が、筋膜を通じてアゴと繋がっているという事実を解剖学的に解説しました。アゴと背骨、下肢は筋膜のつながりがあるため、緊張やストレスによって食いしばりが起こると連鎖反応で大腿骨の外旋の左右差が拡大します。左右の腰筋のうち緊張が強い側の足がアゴの緊張によって「ガニ股になりやすくなる」というとイメージしやすいでしょう。これは食いしばりの悪癖が歩行時の足の運びに悪影響を与えるということを意味します。

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アゴが緊張すると歩幅に差が生じて歩きにくくなる

心身がリラックスし気持ちよくウォーキングをしているときには、口元は自然に緩んで会話しやすいくらいの適度なリラックス状態を保っています。しかし、急いでイライラしているときなどには、無意識に閉口筋が緊張して食いしばりが起きます。すると、筋膜コネクションによって腰筋の大腿骨の外旋作用に左右差が生まれるため、一方の足にガニ股傾向が強くなります。同様に、大腿骨の屈曲作用にも左右差が生じます。「大腿骨の屈曲」とはすなわち、歩くときに足を前に出す作用のこと。つまり、アゴが緊張すると歩幅に差が生じて歩きにくくなることを意味します。(歩幅に左右差があるにもかかわらず真っ直ぐ歩くことができるのは、無意識に背骨や骨盤をひねって足りない分の歩幅を稼いでいるからです)

さらに、食いしばり癖が常態化すると歩行時の両足の動きが常にバラバラになります。段差もないところでつまずきやすい人は、アゴの緊張によって腰筋の運動がチグハグになっている可能性があります。

腰筋は走るときにも下肢を前に運ぶ主動筋として働きます。骨盤の内側の腸骨筋(ちょうこつきん)と連動し腰椎や骨盤を安定させた状態を保ちながら、大腿骨を外旋・屈曲させるのが腰筋の役割です。食いしばりによって引き起こされる外旋・屈曲作用の左右差の拡大はエネルギー・ロスを呼びます。特に、走る動作の多い競技アスリートにとって大きなマイナス要素だと言えます。

さて、私はJリーガーのコンディショニングも行なっています。彼らの骨格を診る際には背骨・骨盤や四肢の調整に加えて、必ず整顎によるかみ合わせ調整も並行して行ないます。咀嚼筋や顎関節をバランス調整することで口周りが程よくリラックスできるようになると、例えばサイドキックがしやすくなります。「なぜサイドキック?」という疑問が浮かぶかと思いますが、理由は腰筋による大腿骨の屈曲・外旋作用はサッカーのサイドキックの動作そのものだからです。腰筋がバランスよく柔軟に伸び縮みすることで、サイドキックの精度も高まり、的確なパスが出せるようになります。

開脚を制限する内転筋(ないてんきん)群も顎関節と筋膜で連結しています。食いしばり癖がなくなれば内転筋もリラックスして脚が開きやすくなるため、股関節の可動域も広がります。ですから、サイドキックだけでなく他種のキックにおいてもスムーズな足運びができるようになるわけです。

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最終更新:2/12(火) 7:05
サライ.jp

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