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仏領ギアナ、ロケット打ち上げの下で貧困は続く

2/12(火) 17:08配信

ニューズウィーク日本版

<南米のフランス海外県は宇宙センターばかりが栄えて地元の人たちの暮らしは一向に改善しないまま>

ロケットが熱帯の太陽を浴びて、次のミッションを待っている。その周囲では、倉庫や貨物線路や燃料タンクの間をジャガーやヘビやトカゲがすばしっこく走り回る。

イギリスの貧困世帯には、健康な食も人間関係も届かない

ここは、南米大陸の北部に位置するフランスの海外県、仏領ギアナ。EU本部があるベルギーの首都ブリュッセルほどの広さの敷地を占める「ギアナ宇宙センター」は、アメリカのケネディ宇宙センター(フロリダ州)に次いで世界で2番目に活況を呈しているロケット発射基地だ。

赤道に近いギアナは、気象衛星や通信衛星の打ち上げに理想的だ。昨年10月には、日欧共同の水星探査計画のための、2機の探査機を打ち上げた。21年には、NASAのハッブル宇宙望遠鏡の後継機であるジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の打ち上げも予定されている。

フランス政府が世界に誇る施設と言っていいだろう。だがこの海外県で貧しい生活を送る人たちにとって、輝かしい宇宙センターは途方もない経済格差の象徴にほかならない。

なにしろ、仏領ギアナでは住民の約5人に1人が失業状態にある。この割合はフランス本土と比べて約2倍だ。麻薬取引などの犯罪も蔓延し、インフラ整備も遅れている。人類学者のイザベル・イデールクリブスキによれば、清潔な水を直接利用できない人は約4万6000人に上る。

こうした状況に抗議して、17年春には大規模なデモが発生した。宇宙センターでもデモ隊が道路を封鎖し、人工衛星の打ち上げを妨害した。

仏領ギアナ全体で1カ月続いたデモとストライキにより、学校が閉鎖され、海運と航空輸送が停止した。この事態を受けてフランス政府が話し合いに応じ、インフラ、警察、医療・保健への投資を増やすことに同意する文書に署名した。

それから1年半余り。抗議運動のリーダーたちによれば、フランス政府は約束の一部しか履行していない。

緊急の治安対策はまだしも、学校の建設や清潔な飲み水の供給など中・長期的なプロジェクトは、政府のデータによってもまだ38%しか完了していないのだ。「何も変わっていない」と、17年の抗議運動を推進した労働組合リーダーのダビー・リマネは言う。

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